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  • 明るい広角レンズなので、夜の町を撮影するのが楽しいです。開放F1.8のJPEG撮りっぱなしなので、この画像で気にならない人は周辺光量落ちなどの補正は必要ないでしょう。

  • [連載:マニアックレンズ道場] 絞り羽根14枚の広角20mm大口径を検証!
    VILTROX PFU RBMH 20mm F1.8 ASPH

  • マニュアルフォーカス専用レンズなので、ねっとりとしたピントリングの感触が味わえます。操作することが楽しくなるクオリティです。

    • ピントリングは動画撮影を考慮して操作時にクリック音の出ないクリックなしタイプです。少し硬めの操作感になっています。

    • マウント部分にはカメラ本体と情報をやりとりするための電子端子などは存在しないタイプのレンズです。

    • 金属パーツの多用されたレンズ外観は高級感もあり、ビルドクオリティも高いものになっています。

  • 北海道の片隅でカメラ用交換レンズの「解像力」「ぼけディスク」「周辺光量落ち」「最短撮影距離と最大撮影倍率」の実写チャートを撮影して、電子書籍にまとめている齋藤千歳です。
    はじめまして。
     
     
    毎日のようにレンズ・カメラのテストをしているのですが、そのなかから気になるレンズをPASHA STYLEの読者のみなさまに紹介させてもらいます。
    第一回はVILTROX PFU RBMH 20mm F1.8 ASPHです。

    そもそもVILTROXを読めますか?
    ビルトロックスと読みます。
    ソニー Eマウント用のAFの85mmF1.8、VILTROX PFU RBMH 85mm F1.8 STMなども発売しているので、ポートレート撮影好きの方にはご存じの方もいるのではないでしょうか。
    中国・深センにあるJueyingテクノロジーという会社のブランドです。
    現在は総合写真機器企業として、さまざまな製品を製造しているそうですが、カメラアクセサリーの製造の開始は2007年からといいます。
    LAOWAなどと同じ中国新興系レンズメーカーです。

    今回取り上げたVILTROX PFU RBMH 20mm F1.8 ASPHは、ソニー Eとニコン Zマウント用がそれぞれ用意される35mm判フルサイズ対応のマニュアルフォーカスレンズになっています。
    マウント部分には、カメラ本体とさまざまな情報をやりとりするための電子接点などの一切ないフルマニュアルレンズです。
    カメラ本体でのデジタル補正の恩恵を受けられないので、レンズの光学性能のみで勝負する開放F値1.8、焦点距離20mmの単焦点レンズになります。
    実勢価格は2019年12月現在で64,000円前後です。
    9群12枚のレンズ構成のうち、EDレンズが4枚、ASPH非球面レンズ1枚、高屈折低分散ガラス1枚の豪華な光学系も気になるポイントです。
    外装については、ほとんどが金属製でビルドクオリティも高く、ピントリングの感触もMFレンズらしいピント合わせが楽しくなる操作感に仕上がっています。
    動画撮影に配慮した絞りリングはクリック感のない無段階式で操作時に音が発生しない構造です。
    そして、私がもっとも注目したポイントは、絞り羽根の14枚という仕様になります。
    一般的に広角レンズの絞り羽根の枚数は、少ないものなら5枚程度、多いものでも9枚から10枚程度といったところです。
    14枚は、ぼけの形を重視する中望遠レンズでも、なかなかみない枚数となっています。
    広角でもぼけにこだわるユーザーにとっては気になる1本といえるでしょう。

    14枚羽根の生み出すぼけの形の美しさだけをお話してもよいのですが、「解像力」「周辺光量落ち」「最短撮影距離と最大撮影倍率」のチャートの撮影結果を元に基本的な描写性能についても解説させてもらいます。

  • <bokechart> 絞り開放での玉ぼけの形は十分以上に美しいですが、F2.8以上に絞っても玉ぼけがほぼ円形を保っていることには驚きます。

  • 解像力については、最新のミラーレス一眼用の単焦点レンズの流行である絞り開放から画面の端までバリバリに解像するといったタイプのレンズではありません。
    どちらかというと基本的に絞るほどに解像力の上がる伝統的なタイプのレンズといえます。
    中央部については、絞り開放のF1.8から実用において十分以上に高い解像力を発揮、F2.8まで絞るとこれがワンランクアップ、F4.0でさらにシャープになり、F8.0前後が解像力のピークといえます。
    周辺部分については、開放でふわっとした描写でややあまくなっています。ここから絞るほどに解像力がアップし、開放時には周辺部分で発生している色収差も軽減する傾向です。F8.0まで絞ると中央部分と大差のない解像力を周辺部分でも得られ、解像力のピークはF8.0といえるでしょう。
    中央部分から画面周辺まで均一で高い解像力を得たいシーンではF8.0をおすすめします。ただし、F16まで絞ると画面全体で絞り過ぎによる解像力低下が発生するので、特別な撮影意図がない限りおすすめしません。
    明るい広角レンズですが、画面全体の歪曲は少なく、厳密にみるなら歪曲は糸巻き型で発生します。絞り開放付近で周辺部分に色収差は少ないながら発生しますが、絞ると改善するのであまり気にする必要はないと思います。
    中央部分の解像力は絞りで大きくは変化しませんが、周辺部分の解像力は大きく変化するので、撮影シーンに合わせて開放のF1.8とF8.0を明確に使いわけたいレンズになっています。

    最短撮影距離と最大撮影倍率については、最短撮影距離が25cmで、最大撮影倍率は非公開となっていますが、実写から推測される最大撮影倍率は0.15倍程度だと思われます。一般的な50mmの標準単焦点と同程度の最大撮影倍率なのでマクロ的な撮影が得意なレンズとはいえません。ただし、最短撮影距離の25cmは頭に入れておきたい数値で、20mmの広角レンズですが開放F値の1.8という明るさと組み合わせて美しいぼけを発生させるのに活用しましょう。

    周辺光量落ちは、当然のようにはっきりと発生します。
    20mmの広角で開放F1.8の大口径ですので、開放付近で周辺光量落ちが発生するのは当たり前といえるでしょう。
    ただし、最近トレンドしては、レンズの周辺光量落ちはカメラ本体との情報のやりとりが可能な純正レンズなどでは、カメラボディでデジタル補正するのが今や一般的です。
    発生量の多寡はあってもVILTROX PFU RBMH 20mm F1.8 ASPHが特別というわけではないと考えられます。
    しかし、VILTROX PFU RBMH 20mm F1.8 ASPHは周辺光量落ちが気になるシーンでは後処理で補正という割り切った考え方なのか、絞り開放からF16まで絞っても基本的に周辺光量落ちは改善しません。周辺光量落ちは、カメラ本体や後処理のデジタル処理で補正するのが最近のレンズ設計の流行ではありますが……。
    本レンズで、周辺光量落ちが気になるようなシーンを撮影する際には、RAW+JPEGの同時記録などを選択してRAW現像時に補正することをおすすめします。

    • 絞り開放でイルミネーションをぼかして画面いっぱいに玉ぼけを発生させました。絞り開放なので円形絞りなら基本的に真円近い玉ぼけが得られます。

    • F2.8まで絞って画面全体にイルミネーションの玉ぼけを発生させました。F2.8でも画面中央の玉ぼけが真円に近い形を保っているのがわかります。

    • F4.0まで絞って画面全体の玉ぼけを発生させています。ここまで絞っても画面中央部分の玉ぼけは絞り羽根で真円から多角形に変形した様子はありません。

  • さて、注目のぼけディスクチャートですが、これだけはAmazon Kindleで発売中の「VILTROX PFU RBMH 20mm F1.8 ASPH レンズデータベース」(https://www.amazon.co.jp/dp/B082FXG3PJ/ )から、ぼけディスクチャートの中央側の実写チャートの結果を抜粋して掲載します。

    意図的に画面内に玉ぼけを発生させるぼけディスクチャートで、14枚の絞り羽根を採用するVILTROX PFU RBMH 20mm F1.8 ASPHの真価が現れるのは、このぼけの形です。
    開放のF1.8ではしっかりと真円に近い形をしているのがわかるでしょうか。
    実は絞り開放でぼけの形が真円に近いのは珍しいことではありません。
    ただし、本レンズでは開放のF1.8はもちろん、F2.0でも、F2.8でもぼけの形がほぼ真円に近いのがわかるでしょう。
    一般的に円形絞りを採用しぼけにこだわった中望遠レンズなどでも、ぼけの形が真円に近くなるのは、実は開放から1段絞るくらいまでというのが一般的です。しかし、VILTROX PFU RBMH 20mm F1.8 ASPHはF4.0でも、F5.6でも、F8.0でもかなり真円に近いぼけが発生します。こちらには掲載していませんが、F16でもかなり真円に近いぼけが発生していることには驚嘆しました。
    さまざまなレンズのぼけディスクチャートを観察してきましたが、広角ではもちろん、標準や中望遠などを含めても、絞ってもこれだけぼけの形の美しいレンズは非常に珍しい存在だと思います。
    また、ぼけの形だけではなく、その質なのですが、ASPH非球面レンズを採用しているためか、ぼけのディスクのなかに同心円状のシワが発生する玉ねぎぼけは傾向はありますが、色収差などによるフチの色付きも少なく、内部のザワつきも少ないので広角レンズとしては、形、質とも美しいぼけが得られます。

  • 中国の知らないメーカーという不安のある方も多いでしょうが、VILTROX PFU RBMH 20mm F1.8 ASPHは、最新のミラーレス一眼用純正レンズのような絞り開放から画面端まで全開の超高解像といった描写は得られません。
    しかし、中央部分は絞り開放から十分にシャープですし、開放F1.8とF8.0の描写の差を把握して使いこなすことで、1本で2種類の異なる描写を楽しむことができます。
    また、電子接点のないフルマニュアルレンズですが、14枚の絞り羽根によって描き出されるぼけの形の美しさは秀逸です。
    開放だけではなく、絞ってもぼけの形の美しい広角レンズは非常に希有な存在なので、作例でも掲載したイルミネーションを画面いっぱいに背景として撮影するポートレートなどでは、ほかのレンズでは得られない効果を得ることができます。
    ぼけの形にこだわる方にぜひ使ったもらいたい1本です。
    ぼけディスクチャート以外の各種チャートの実写もご覧になりたい方はAmazon Kindleの電子書籍「VILTROX PFU RBMH 20mm F1.8 ASPH レンズデータベース」(https://www.amazon.co.jp/dp/B082FXG3PJ/)もぜひご覧ください


    【Text&Photograph:齋藤千歳】
    https://pasha.style/article/999

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