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  • ヨシダナギさんへ直撃インタビュー
    少数民族の次に被写体にしたのは「ドラァグクイーン」













813日から西武渋谷店でヨシダナギさんの写真展『DRAG QUEEN -No Light, No Queen-』がスタート。

アフリカをはじめとする世界中の少数民族を撮影し続けているフォトグラファー、ヨシダナギさん。

彼女が次に被写体にしたのがドラァグクイーン。

早速、インタビューをと写真展会場である西武渋谷店へ伺いました。





【プロフィール】

ヨシダナギ

1986年生まれ。2009年より単身アフリカへ。独学で写真を学び。

アフリカをはじめとする世界中の少数民族を撮影。

色彩豊かな独特な作品が評価されるフォトグラファー。

 

写真集

SURI COLLECTION(いろは出版、2016326日)

HEROES ヨシダナギBEST作品集(ライツ社、2018426日)

DRAG QUEEN -No Light, No Queen-(ライツ社、2020430日)



 

それではヨシダナギさんへの直撃インタビューをご覧ください!

 

なぜドラァグクイーンを撮影しようと思ったのでしょうか?

私は少数民族を追いかけていたらフォトグラファーになってしまったタイプで、数年前から少数民族以外も撮って欲しいという要望を貰っていました。

カメラの技術があるわけではない私が撮るならモデルに対しての興味とか想いがないと、撮影しても意味がないのではないか? と考えていました。

少数民族と同じぐらい興味が持てる被写体はなんだろうと、3年ほどモヤモヤと考えていて、唯一興味を持てたのがドラァグクイーンでした。

  

 

ドラァグクイーンの作品撮りをはじめたのはいつ頃ですか?

フォトグラファーになったのが、今年で5年目。おととしの冬に「ドラァグクイーンだったら私、会ってみたい」と思って、そこから動きはじめました。

実際にドラァグクイーンの撮影をはじめたのは去年からです。

 

 

 撮影期間はどのぐらいだったのですか?

去年の2月にニューヨークに5日間。6月にパリで2週間です。

  

 

ニューヨークとパリの撮影は大変ではなかったですか?

私は東京に住んでいるので、現地に行く前からコーディネーターにお願いしてモデルとなるドラァグクイーンのスケジュールを調整していました。

ドラァグクイーンの方々は気分屋さんが多いので、キャンセルが続きに続いて、仕舞いには連絡がつかない方がでてきたりして、

現地に着いた時にはモデルが誰も決まってないという状況に……(涙)

現地についてから、なんとか3名の方と連絡がついて、そこから数珠つなぎで、

いろいろな人にお願いして何とか撮影させてもらえた方々が今回のモデルさんです。












作品の中で、ヨシダナギさん的にこだわった作品はどれですか?

写真集の表紙になっているコリーヌの作品です。実はモデルを何回も断られました。

ほかにもスケジュールが合わなくて撮影できない方はいたのですが、コリーヌだけはどうしても撮影したかった。だからコーディネーターに頭を下げて、

「この人だけは撮影したいから」と、OKが貰えるまでしつこくアタックしてもらいました。それでなんとか1日だけ撮影時間を貰えることになり撮影ができました。

 

 

コリーヌさんはどんな方ですか?

コリーヌはパリの方で、ドラァグクイーン歴が40年ぐらい。

ドラァグクイーンという言葉がない時代からの方なので、ドラァグクイーンというよりは演者さんという感じです

 

 

パリとニューヨークでは、ドラァグクイーンの方々の雰囲気は違うのでしょうか?

パリとニューヨークでは同じドラァグクイーンといっても、雰囲気は全然違います。

パリはキャバレー文化が根付いているので、メイクがキャバレー系。ちょっと舞台メイク。

衣装もニューヨークとは違います。衣装の選び方とか作り方が違いますね。パリはオートクチュールで、自分に合ったものを作る人が多い。

ニューヨークはオートクチュールではなく、自分のサイズに合うものを買って自分にあわせてリメイクする感じです。

パリの人たちは仕事をやりながらのドラァグクイーン。

仕事が服飾だったり、クリエイティブ系の出身の方が多いので、自分や友達に作ってもらえるのでオートチュールがやり易い環境です。

ニューヨークはドラァグクイーンを仕事として生活できる環境が整っていますね。

  

 

少数民族の時のように、今回も体当たりコミュニケーションをとっていたのでしょうか?

今回は時間がなくて……。その代わりに濃密なインタビューをちゃんとした感じ。インタビューがいつもの代わりのようなイメージです。

自分でを質問を考えて、インタビュアーをやりました。少数民族撮影では一緒にご飯食べたりといったところが、今回はそのインタビューだと思ってもらえると嬉しいです。

11時間ぐらい話を聞いて、ぎゅっと10分にまとめてあります。こちらも苦労して作っているので見てほしいです。

インタビューは写真集の特典映像に入っています。

 

 







赤のエリアがニューヨークで撮影された作品。

青のエリアはパリで撮影されたもの。





それぞれのエリアではインタビュー動画も見ることができる。写真集のメインビジュアルの前で撮影できるフォトスポットも用意されている。


ロケ場所を選ぶ基準などはありますか?

彼女たちは迫力があるので、それに合う場所というのが意外となくて……。

寂しいところでもダメだし、だからといってごちゃごちゃするのも違う。

衣装との組み合わせもあるので、まるでパズルをはめていくような感じでした。

一応、現地に行く前にInstagramで彼女たちの衣装を見ているので、それにあわせてロケハンをしているのですけど、

彼女たちはとても気分屋さんなので、いざ現場に来たらお願いしていた衣装と違うなんてこともありました。

あれ、この衣装で撮影することを想定してロケ場所を選んだのに、衣装が違って全然あわない! 何をやっても合わない! とか(笑)

  

  

今回は写真集を作ることを前提に作品撮りを行った感じですか?

写真集をいつ出すのかまで決まっていました。

スケジュールが全部出ていたので、もし作品が撮れなかったら追加で撮影に行かないといけなかったのでピリピリしました。

 

実は撮影にかかる費用は自費。多少は出版社から取材費は出るのですけど……。

旅費やスタッフ代など入れたら1000万円ぐらいかかっていますね。本当は300万円で済ます予定だったのですけど(笑)

 

自分でやっていて、馬鹿だなぁ~(笑)

なんでこんなにお金かけてやっているのだろうって話。

今回の作品は予算も掛かっているので、かなり気合いを入れてやっています。

もちろん今後もドラァグクイーンは追い続けていきたいと思っています。

  

  

ポージングが凄くカッコイイと思ったのですが、どこまでポージングを指示しているのですか?

基本的にドラァグクイーンの方々は写真を撮られ馴れているので、お任せです。

ただ3人とか4人とかの場合は左右の人のバランスもあるので、

「そのあたりで足を前に」「手を上に角度変えて」などの細かい指示をしています。

 











PASHA STYLEはポートレート専門メディアなので、すこし写真展から離れた話題もお聞かせください。

機材(カメラ・ストロボなど)を教えてください。

ニコンのD8102台使っています。ストロボはprofotoのB10B10 plus2台ずつ、合計4灯です。

  

 

1回あたりの撮影時間はどのくらいですか?

1カット15分ぐらいです。

  

 

作品で特に気を遣っていることはありますか?

少数民族もそうなのですが、ピントが合った写真よりも彼女たちの表情の良いものを選ぶようにしています。

特に彼女たちはすごく美に関して、見られ方見せ方に関してはこだわりが強いので、そこを最優先に選んでいます。

  

 

普段は撮影しないという噂を聞いたのですが……

まったくしないです。カメラに触らないです。カメラ嫌いです(笑)

今、カメラがどこにあるかもわからない(笑)

カメラは普段は目に見えないところに置いておきたいので~。

  

 

レタッチはどのくらい時間をかけるのでしょうか?

モノによってですが、早ければ11時間でできたらいいかなぁといった感じです。

時間がかかるものはまるまる1日かかったりもしますね。

 








ティングで苦労することはありますか?

少数民族の時は、この時間でしか撮らないと決めています。朝だと6時半から7時半ぐらいまでの逆光になる時間です。どの国もだいたい同じで1時間ぐらいしかないです。

今回は屋内が多かったので陽の光があまり関係なかったので、余裕を持って撮影ができました。少数民族の撮影はライティング的には陽が出ないとアウト。あと民族は着替えるのが遅くてベストな時間に撮影ができなかったりすることもありましたね。

そういう意味では少数民族のほうが追いつめられることがありますね。

 

 

最後にヨシダナギさんの考えるポートレートとは?

ポートレートは技術を見せるものではなくて、そのモデルさんの一番いい表情だったり、その人を知らない人が「この人いいなぁ」「カッコいいなぁ」と思うその一瞬を撮るものだと思います。

  

以上でインタビュー終了です。

ヨシダナギさんの作品づくりへの熱い想いがつまった写真展は830日まで、東京・渋谷の西武渋谷店で開催中です。

同じ作品でも大判プリントで見る作品はまたひと味もふた味も違います。ぜひ写真集と合わせて見てもらえると面白いと思います。










会場:西武渋谷店 A7階 特設会場

住所:東京都渋谷区宇田川町21-1

会期:2020813日(木)~30日(日)

営業時間:10002000(最終日は17時閉場)※入場は閉場の30分前まで

入場料:一般 800円(税込) 高校生以下は無料

※クラブ・オン/ミレニアムカード会員、 西武・そごう公式アプリ会員に限り、

特別ご優待価格400円(税込)で入場可能。

※西武・そごうモバイル会員は入場無料。

※障がい者手帳各種をお持ちの方、 およびご同伴者1名さまは無料



 

  

 
 

text/interview/photographSATO TAKESHI