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エプソンからA4プリンターのフラッグシップモデル登場!!
EW-M873Tで今こそ作品プリントのススメ!
あなたの写真、プリントしてますか?
ゆっくりと温めてきたコンセプトを最高のモデル、最高のロケーション、最高の衣装で具現化した渾身の作品。モデルの一瞬の煌めきを捉えきったストリートポートレート。二度とは巡り会えない奇跡の瞬間、愛しい時間を切り取ったスナップフォト。驚く程の雄大さ静寂さ空気感を心とファインダーに収めるランドスケープフォト。あなたのその最高の1枚はSNSの小さな世界やパソコンの中に眠ってはいませんか?
日々撮りためてきた大切な写真たちをデータのままにしておくのは勿体ない! ハイアマチュアのフォトグラファーも、これからもっともっとレベルを上げていきたいフォトグラファーも「日常的にプリントをする」という行為が、より自分の作品をレベルアップさせていくトリガーとなったり、パソコンの中とは違う写真の楽しみを与えてくれます。
そんなハイアマチュアにぴったりの“日常使いできるプリンター”が、12月10日にエプソンより発売されました。PASHA STYLEとしてもとても気になるプリンター。早速ポートレートナビゲーターの硯谷昭広さんにお願いして、こだわりのモノクロポートレートをテストプリントしてみました。
プロフォトグラファー
PASHA STYLEポートレートナビゲーター
硯谷昭広 / Akihiro Suzuriya
▶▶▶ web site
▶▶▶ PASHA STYLE紹介ページ
広島県生まれ。広告、コーポレート撮影やポートレートの分野で活動中。
・1997:株式会社スタジオゴリラにて広告写真家・神林章夫氏に師事。車のカタログ撮影に励む。 ・2000:フリーランスとなる。同時にデジタルへ移行。Adobe認定エキスパート(Photoshop5)資格を猛勉強(笑)の末、取得。 ・2006:APA公益社団法人日本広告写真家協会主催の公募展「APA AWARD 2007」に入選 ・2014.1:エイ出版社 CAMERA magazine 2月号・企画ページ〈Sony α7の醍醐味 フルサイズミラーレスを楽しむ〉に寄稿(写真6点掲載)。 ・2014.9:ワークスコーポレーション刊 プロカメラマンFILE 2015 に掲載 ・2014.11〜:photo project joujou にカメラマンとして参加。 ・2018.1〜:PASHA STYLE にポートレートナビゲーターとして参加。 ・2019.12〜:2016年より定期開催中のポートレートライティング講座の内容をまとめた「Light & Shadow PDF版テキスト」とナチュラルな肌レタッチのためのPhotoshopアクションファイル「Natural Face Retouch」の販売開始。詳細はhttps://asdpc.com/info.html
圧倒的クオリティと低印刷コストで日常使いできる!
フラッグシップ写真高画質プリンター
エプソン EW-M873T 登場!!
この記事を読んでいるそこのフォトグラファー諸君!(写真に関わるクリエーター諸氏も他人事ではないっ) あなたはどんな時にどんなタイミングでプリントをしますか? 写真展に参加する際に? モデルさんにプレゼントとか? ブックを作ったりする場合もあるかもしれませんね。いや、そもそもプリントをする時はプロラボなどに外注して、自分のプリンターは持っていないという人もいるかもしれません。そういう限られたシチュエーションでしかプリントをしないという人たちは、SNSが写真発表のメインプラットホームとなっている昨今ではマジョリティなのかも……。 しかし、ポートレート撮影に情熱を注ぐフォトグラファーなら日常的にその作品をアウトプットすることで、写真のスキルがアップすると硯谷さんは提唱してくれました。
硯谷「今の時代はSNSなどのデジタルデータの中で完結する人も多いと思うけど、
いざ展示のためなんかでプリントしてみると
思った通りに色が出ないなんてことがあると思う。
それは最終的な『プリント』というアウトプットを想定した現像なり、
レタッチなりが体得できていないからなんだよね。
まずはしっかりとモニターのキャリブレーションを取って
(フリーのキャリブレーションソフトなんかもあるので探してみて)
写真を仕上げて、プリントをしてみる。
そうするとモニターでは表現できてもプリントでは表現できないような
色や階調なんかに気がつくはず。それを繰り返していけば
自ずと現像、レタッチの仕上げ方が変わってくるんじゃないかな。
日常的にプリントして写真を見る習慣をつけると
それだけでスキルアップできるはずだよ」
確かにごもっともなお話だけど、日常的に写真クオリティーでプリントを繰り返すのはなかなかコスト的にも厳しいですよね。しかし今回エプソンから発売されたEW-M873Tなら同社の写真高画質プリンターの名に恥じないすばらしい写真クオリティと、エコタンク方式のインクからなるケタ違いの安価な印刷コスト(L版写真で1枚6.9円!/税別)で、日々のテストプリントや作品作りをサポートしてくれること間違いなしです。
EW-M873Tの主な特長
●ClearChrome K2 Plusインク6色(フォトブラック、グレー、シアン、マゼンタ、イエロー/以上染料、マットブラック/顔料)を採用することで写真の表現力が大幅に向上。(写真右上)
●プリントに応じてインクのサイズを最大5段階で打ち分ける技術「Advanced-MSDT」で、なめらかなグラデーション、繊細な明るさ、色再現が難しい人の肌もより忠実に、階調豊かに表現します。
●スタイリッシュなデザインながら豊富な給紙機構が利用できるので様々な厚さの用紙に対応できます。(前面カセット、背面トレイ、手差しストレート給紙など)(写真左上)
●4.3型のタッチパネル液晶で直感的に迷わず操作することができます。(写真左下)
●余白の大きさや組写真レイアウトを思いのまま作ることができる「Epson Print Layout」でよりクリエイティブな出力を可能にします。(Adobe® Photoshop®やLightroom®、ニコン社のViewNX-i、市川ソフトラボラトリー社 SILKYPIX®のプラグインとしても使用可能)(写真右下)
※詳しくは最下段のメーカーリンクからご確認ください。
モノクロプリントを試してみよう!
写真高画質プリンターを名乗るならメインストリームであるカラー写真の表現力が素晴らしいのは当然。実際現行の上位機種SC-PX1Vと比べても遜色ない仕上がり。ならばEW-M873Tの特長のひとつモノクロインク(フォトブラック、グレー、マットブラック)での表現力を見てみたいと硯谷さんがこだわりのモノクロ写真データをいくつか持ってきてくれました。さてプロフォトグラファーの評価やいかに。
硯谷「普段の作品撮りでは、はじめからこれはモノクロで仕上げると
決め込んで撮ることはないんだけど、
自然光が入るロケーションでの写真だと
撮りながら“これはモノクロにしてもカッコ良さそうだ”というのが
自然と頭の中でシミュレーションできているね。
頭の中でモノクロに置き換えられるイメージ。
テストのためにメインで選んだ写真は、モデルさんに木漏れ日が落ちる
木陰のロケーションだけど、肌に落ちる柔らかな光と影のトーンと
背景のざわめく葉のボケのテクスチャーと
暗部の階調表現なんかがどう表現されるか楽しみだね」
用意してもらった用紙は3種類。比較的安価なフォトマット紙と写真用紙絹目調(半光沢)、和紙のようなテクスチャーが特長のVelvet Fine Art Paperだ。Epson Print Layoutに写真を読み込んで特に細かい設定などはしない。用紙の種類を選び(フォトマット紙を使用)、印刷品質を選び、カラー設定をモノクロ写真に。調子はまずは「標準」で。最低限の設定をプルダウンから選択するだけ。青いLEDに照らされた用紙の排出口から出てきたプリントをまじまじと見て思わず唸ってしまう。
硯谷「ええっ!?って感じだよね(笑)拍子抜けするほどに1枚目からイメージ通り。
写真用紙と比較して安価な紙を使っての出力だから、
少しくらいは色転びやトーンジャンプ的なもの
濃度の差異みたいなことがあるのかと構えていたんだけど。
このプリントだけ見たら不満を見つけるのが難しいくらいだよ」
それならばと、その他の設定も試してもらった。用紙はフォトマット紙に固定し、出力設定の「調子」だけを変えていく。標準を含め5段階(下写真参照)が用意されているが、それぞれがEpson Print Layoutのプレビュー画面と大きくブレることなくなく出力されることに驚くばかりだ。
硯谷「先にも言ったように僕はモノクロを撮ろうと思って撮ってはいないので
カラーデータをモノクロ化しているんだけど
その時に当然、モニター上ではベストのデータを作っているんだよね。
でも、刷り比べてみるとプリントはやはり別物という感じがする。
データのイメージ通りの『標準』設定も勿論いいんだけど
それぞれがいいんだよね。これが紙(プリント)の魅力なんだよね」
フォトマット紙のプリントには染料インクのみが使われている。顔料インクの「マットブラック」を使用したプリントもテストするため用紙をVelvet Fine Art Paperに変更する。
硯谷「用紙が違うので単純には比較が難しいけれど
より『黒』に深みというか強さが出るね。
和紙のような大きめなテクスチャーのある紙だけど
肌の微妙なトーンはまるで玉子の表面のように綺麗だし
滲みの少ない顔料インクのお陰か髪の毛1本まで解像感も申し分なし。
モノクロ写真の強さをより表現できるインクじゃないかな」
プリントを楽しむということ
しかし、これだけイメージ通りにプリントできると、どんどんフォトグラファーの気分も上がってくるというものだろう。失敗が少ない分、お財布にも優しいというものだ。
プリントをすることの楽しみには色々あるが、硯谷さんには多くの写真データを持ってきていただいたので作品のブックを作ってみることにした。用意していた3種類の紙を使い分けながら女性ポートレート、男性ポートレート、スタジオ、ロケ、風景まで。様々な写真をプリントしていく。その度に色の転びのないストレートなモノクロ表現に硯谷さんの表情も緩みっぱなし。プリントをクリアファイルに入れ1ページ1ページ写真をめくっていく瞬間は、ブラウザをスクロールしたりタップしたりするのとは全く別の行為なのだ。
硯谷「モニター(SNS)を通して自分の作品を発表する場合、
いくらこだわり抜いたレタッチをしてトーンや色を決めていても、
見てくれる人の環境で見え方が全く違ってしまうということは
頭に入れておかないといけないよね。そこがプリントとは違うところ。
プリントならほぼ意図した通りに見る人に伝えることができるからね。
自分の作品にあった紙を選ぶということもプリントする上で大切。
プリントして見せるということはただ『見せる』ということとは
全く違う体験を提供するということなんだ。
紙の手触りや質感、インクから漂う香りまで含めて視覚以上の……
とにかく刺激を受ける部分がモニターとは違う。
日常的にプリントをするということに触れていると、
より自分の写真と向き合えて技術の向上にも繋がる。
そういう意味では素晴らしい画質で、
低印刷コストのEW-M873Tは抜群にいいよね。
とテスターとしてもっともらしく言うとそういうことなんだけど、
もっと気楽にプリントを楽しもう!ってことなんだ(笑)」
text:kawano kimihiro
photo:sato takeshi