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  • 【REVIEW】LUMIX Sシリーズを徹底比較
    創作写真家Maeshinがテストシューティング





2019年3月にLUMIXが満を持してデビューさせたのが、プロのためのミラーレス一眼カメラのSシリーズ。

有効画素数約2420万画素のフルサイズセンサーを搭載したS1をはじめ、高画素モデルのS1R、動画撮影を強化したS1H、そして2020年にSシリーズの小型・軽量モデルS5とラインナップを拡充してきた。

そこで今回は実際にSシリーズの購入を検討しているPASHA STYLEアンバサダーのMaeshinさんに創作写真家からの目線で徹底比較して貰います。

Maeshinさんは静止画の撮影がメインということで、テスト機材はS1Hを除いたS1、S1R、S5の3機種です。


【テスト機材】

カメラ:S1S1RS5

レンズ:LUMIX S PRO 50mm F1.4LUMIX S PRO 70-200mm F2.8 O.I.S.


ここからはMaeshinさんが実際に使った感想をレビューします。



作例① スナップ撮影




作例② ファッション撮影




作例③ 創作撮影




屋外スナップ撮影(高感度、ノイズ、手ブレをチェック)

 まずはロケで使って、その後でスタジオ撮影を行い、最後にスタジオで創作撮影という順番でカメラをテストさせてもらいました。屋外でのスナップ撮影は画作りを考えずにシャッターを切りました。主にISO感度をあげた時にノイズや発色がどうなるのかを見ていきます。



使用レンズ:LUMIX S PRO 50mm F1.4同じシャッタースピードでも画素数の多いS1Rだけは少し手振れしているのが確認出来ますね。


3台ともISOを6400まで上げて撮影しました。拡大してみるとノイズに関してはS1とS1Rがよかったです。順番的にはS1→S1R→S5という感じ。ただS1Rは高画素機なので、画素数の違うS1、S5とは単純に比較できません。そこを考慮するとS1とS1Rは甲乙つけ難いです。S5に関してはS1と同じセンサーで同じエンジンだけど高感度には差が出たなぁという印象。3台ともISO3200ぐらいから目立ったノイズが出てくるので、マックスでISO2500までに抑えて使えば十分使えます。僕の作品は展示をすることを常に考えているのでプリントもしてみたのですが、ISO2500だったらノイズ処理なしでA2サイズまでの印刷にも耐えられました。ノイズに関しては他の2台には至らなかった印象のS5ですが、普段カメラを持ち歩かない僕にとってはこのサイズは魅力的。このサイズなら持ち歩いてもいいかなぁと思える。写真はISO2000でそれぞれのカメラで撮影したもの。手ブレ補正に関しては1/30ぐらいまでは普通に使えるので夜間の撮影も安心でした。



同じシャッタースピードでも画素数の多いS1Rだけは少し手振れしているのが確認出来ますね。




スタジオ撮影(発色をチェック)

創作での作品撮りをする前にスタジオでビューティ&ファッション撮影を行いました。実はこのテスト前にLUMIXを触れる機会があってS1シリーズは階調がいいのは認識していました。ロケスナップでは設定がバラバラだったので、スタジオ撮影で発色を確認していきます。

正直、驚きました。写真を見てください。別の機種とは思えないほど同じ仕上がり。同じメーカーなら同じような色合いになるイメージですが、実際に色が揃っているのは稀です。だから仕事の現場でサブ機を用意する時は、同じ機種じゃないとダメと言うプロの方も多い。ですが、LUMIXのSシリーズに関してはどのモデルを使っても、LUMIXの仕上がりになるので安心です。ただロケスナップで見て頂いた通り高感度時のノイズの出かたに違いがでているので、そのあたりだけは気をつけて機種を選択しないといけませんね。



スタジオでは衣装を含め色鮮やかな感じに仕上げてファッション撮影を行いました。作例で特に注目して見てもらいたいのが背景。単色背景紙をライティングでグラデーションをつけました。このLUMIXのなだらかな階調に僕は惚れこんじゃいました。


【作例② 詳細設定】

ホワイトバランス:4900K

フォトスタイル:ポートレート

コントラスト:-1

ハイライト:-5

シャドー:-1

彩度:+2

色合い:-2

シャープネス:0

ノイズリダクション:0



創作撮影(階調をチェック)


作例③ 創作撮影


今回の創作撮影では、鳥の飛翔をイメージして衣装とメイクを仕上げました。ファッション撮影はカラフルなものだったのですが、創作撮影の方は色の少ないシンプルな構成になっています。このライティングでは特に、ハイライトからシャドーにかけて、落ちていくグラデーションの表現を意識してます。

ライティングへのこだわるのはもちろん、撲の場合は撮影時はホワイトバランスやフォトスタイルを細かく設定し、自分のイメージに仕上げていきます。ライティングが変わるとハイライトの位置が変わり、シャドーの落ち方が変わるのでそれに応じてフォトスタイルの微調整を行っています。


【作例③ 詳細設定】

フォトスタイル:ポートレート

ホワイトバランス:5100K

コントラスト:0

ハイライト:-2

シャドー:-2

彩度:+1

色合い:0

シャープネス:0

ノイズリダクション:0



まとめ

S1、S1R、S5のテストシューティングをしての感想ですが、もともとS1のなだらかで柔らかいグラデーションと豊かな色表現に惚れ込んでLUMIXシリーズの導入を考えてました。

その為にテストさせてもらったのですが、使ってみると3台とも本当によく考えられている。


フォトスタイルでコントラストや彩度はもちろん、ハイライトやシャドウまで調整可能でそれぞれ-10から+10まで20段階で設定可能になっています。僕は作品撮りでライティングを組む際、シャドウのグラデーションを意識して組むことが多いのですが、中間部分のグラデーションをコントロールするのにこの超微調整出来るのがとても嬉しい機能です。


ほかには操作ボタンのカスタマイズの自由度が本当にびっくり。他社だとカスタムボタンがいくつかあってそれを自由に設定できるというのが多いと思うのですが、LUMIXはほぼ全てのボタンを自由に割り当てる事ができます。天面にあるホワイトバランス、ISO、露出補正なども変更可能です。デフォルトの配置で写真確認用の再生ボタンは左手側に付いてるのですが、僕は撮影時は望遠側のレンズを使うことが多いので左手は出来るだけレンズを支えるだけにしたいんです。なので基本的に全ての設定変更や操作は右手だけで行えるように出来るのはとても良いですね。


実はS1RとS5を購入しました


3台をテスト撮影で撮り比べた感触ですが実はトータルのバランスではS1が一番よかったんです。S1は画素数も多すぎずPCでの編集作業の負荷も少ないので扱い易いですし、レフ機をずっと使ってきた僕の手にも少し大きめのボディがよく馴染んでくれました。ただ僕の場合、常に展示を目的とし撮影するので、出来るだけ大きい画素数が必要なため、今回は高画素機のS1Rを購入することにしました。


サブ機にはS5を導入しました。Sシリーズは3台とも同じ写りをするので小さいボディの機種を選べば持ち運びも便利かな?と思い敢えてボディサイズの違うS5にしました。スタジオで撮ることが多い僕としては、持ち歩いて使うことは無いですが、ロケの時にはきっと役に立ってくれることかと。


レンズは『LUMIX S PRO 50mm F1.4』と『LUMIX S PRO 70-200mm F2.8 O.I.S.』の2本のレンズをテストさせてもらいました。

写りに関してはどちらもシャープで非常に満足しています。実はLUMIXのカメラを買う前はレフ機で単焦点レンズを中心に機材を揃えていたので、作品撮り用に望遠側のレンズも単焦点を考えていましたが、それにもひけをとらない性能に満足しています。

結局、カメラ購入時に20-60mmと70-200mm、50mm、85㎜を同時に購入しました。


これからレンズラインナップが充実してくれば、システムとしてさらに魅力を増すでしょうが、今現状で楽しめるだけのラインナップは充分揃っていますのでぜひ皆さんにもぜひ使って欲しいです。Lマウントなので、人気の高いシグマとライカのレンズを選択する事も出来ますし、Sシリーズのカメラの魅力をフルに発揮する純正のレンズにも注目して下さい。一度使ったら柔らかいグラデーションと豊かな色の虜になりますよ!




【プロフィール】

MaeshininstagramTwitter

大阪を拠点に活動するART写真作家/元音楽家で現役の放浪旅人/スタジオオーナー/写真講師/国内外で認定作品や受賞歴など多数。

20代でカメラを手にし、呼ばれるように海外へ。現地人の家を泊まり歩き深く人と触れ合うことに魅力を感じプロの道を志す。

帰国後、某大手ウェディング会社のスタジオ部門を下請けする親方の元で修業しライティングに深く精通する。

現在は大阪市内にアトリエを構え、海外のギャラリーと契約を獲得するなど、国内外問わず写真業界からART業界に進出中。



【STAFF】

Model(屋外スナップ):山南あかね(Twitter

Model(スタジオ):itoi(instagram

Model(創作):琴音(instagram

Hair &make up(スタジオ):カオリ (instagram

Hair &make up(創作):AYAKA TANAKA(instagram


 

 

Text:SATO TAKESHI