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  • 【PASHA REVIEW】SIGMA fp L
    6100万画素センサーの実力は?




今回、SIGMAから新たに発売されたfp Lをお借りできたので、モデルをSUMIREさん、ヘアメイクを森井美津美さんにお願いして、ポートレート用のカメラとしての使い勝手などをPASHA STYLEのセミナー講師を務めたこともある松浦武臣がテストした。

 

このfp L、超小型のボディにフルサイズの有効画素数約6100万画素センサーを搭載し、LEICA、Panasonicと共にLマウントアライアンスに参画しているカメラということで、SIGMAのレンズのみならずLEICAやPanasonicのLマウントレンズも使用でき、非常に興味深いカメラとなっている。


テストにはミラーレスに最適設計されたレンズ

SIGMA 65mm F2 DG DN | Contemporaryを使用。

約6100万画素のセンサー搭載モデル

fp Lは2019年に発売されたfpの高画素機モデルということで、ボディ形状などfpの仕様をかなり引き継いでいる。fpは撮影対象やシチュエーションを選ぶクセのあるカメラということで評判だが、テスト撮影に使用したfp Lも同様でかなりクセのあるカメラだった。発売から1か月以上が経ち、既に野外でのスナップで撮影されている方も多い。PASHA STYLEはポートレート専門メディアなので、スタジオでのポートレート撮影での使用感はどうなのか、実際の使用に耐えられるのかを同じLマウントのフルサイズ4730万画素センサー搭載カメラLUMIX S1Rと比較しつつレビューしていきたいと思う。



 


定常光でSIGMA fp LとLUMIX S1Rを比較撮影。 同じLマウントのカメラでも大きさはこれだけ違う。左がS1R,右がfp L。


LUMIX S1Rと比較

モデル(SUMIRE)さんに椅子に座ってもらい、カメラを三脚に固定し定常光で撮影。fp LはLマウントカメラの中で最小クラス、S1Rは最大クラスとカメラの大きさがかなり違うので、カメラ交換の際にレンズの位置が同じになるように画角の微調整を行っている。セッティングはどちらもシャッタースピード1/100、絞りF2.8、ISO200、ホワイトバランス4700K、RAW記録で、撮影後にAdobe BridgeとPhotoshopで全く同じ設定でJPG現像仕上げをしている。



写真① fp L撮影  シャッター速度1/100 絞りF2.8 ISO200 ホワイトバランス4700K



写真② S1R撮影  シャッター速度1/100 絞りF2.8 ISO200 ホワイトバランス4700K


撮影した写真が、写真①(fp L)と②(S1R)となる。違いとしては、まず画素数の違いがあり、写真①は9520x6328ピクセル、写真②は8368x5584ピクセルとfp Lの方が当然高画素で撮影されている。

比べると同じレンズを同じ設定で使用しているにも関わらず、写真①の方が明るく撮れている。さらに写真①のほうが彩度も高い感じがする。彩度に関しては明るさが関係してる可能性もある。ダイナミックレンジに関しては、S1Rと同等で高解像度機としては十分に広い。

使い勝手的な面では大きな問題はなかったが、fp Lはテザリング撮影用のソフトウェアがまだ存在せず、大きな画面で確認できないのが難点だった。PCでUSB接続されたカメラをコントロールするためのソフトフェア開発キットSIGMA Camera Control SDKがリリースされているので、fpもfp Lもそのうち対応したソフトがリリースされると思う。撮影時は確認をしなかったが、もしかするとHDMIから液晶モニターに出すなど、すれば大画面で確認ができるかもしれない。



 


 


センサーはSIGMA史上最高画素数となる有効約6100万画素。
背面のモニターは固定式。ローアングル時の構図の確認は大変。
ボタン1つで変えられるカラーモードが秀逸。


色は好みもあるが、正確さという点ではS1Rの方が良さそうだが、個人的には今回の撮影ではfp Lの方が好印象。特にカラーモードがよくできていてボタン1つで変えられるのが便利。どのカラーモードも破綻することなく、簡単に美しく仕上げられる。RAWで撮影する際もSIGMA Photo Proを使用すればカラーモードのイメージを保ったままJPGやTIFFに現像できる。尚、LightroomやPhotoshopなどでRAW現像する場合は、カラーモードが反映されないので注意。(2021.5.30現在)
画素数に関してはS1Rの4730万画素で困ったこともないが、fp Lは約6100万画素と更に高画素ということでトリミング耐性が更に高くなっており、ちょっと広めに撮っておけば手足が見切れていた等の失敗はかなり少なくなると思う。


ストロボ同調速度1/15で撮影は可能か?

このfp L、なんとストロボ同調速度が1/15以下(画質:DNGおよびDNG+JPEG、記録ビット数:14bitに設定されているときは1/10以下)ということで、ストロボ撮影は実質できないのでは? というような仕様だが、実際の所どうなのかをスタジオで検証してみた。



写真③ SIGMA fp L ストロボ撮影  シャッター速度1/8 絞りF22 ISO100 ホワイトバランス5450K


今回は画質DNG、記録ビット数:14bitに設定しており、本来であればシャッタースピード1/10で発光するはずだが、1/10では光らず1/8にする必要があった。SIGMAに話を伺ったところバグらしく、次回のファームウェア更新で修正される予定とのこと。
ストロボはCOMETのジェネタイプとモノブロックをホットシューからシンクロ端子に変換して使用している。



 


シンクロ接点がないので市販のホットシュー用アダプターを使用。
ストロボはCOMETのTwinkle02とTwinkle02FⅢを使用。どちらも光量は200Ws。


まずはCOMETのジェネを使用して撮影しようとしたところ、シャッタースピード1/8、ISO100に設定し、絞りをF22にしても、光量が大きすぎて使いものにならなかった。そこでストロボをモノブロックに交換し、光量を落として撮影したところ無事に撮影ができた。設定はシャッタースピード1/8、ISO100、絞りF22、ホワイトバランス5450K。スタジオは環境光などを一切遮断してモデリングライト以外は真っ暗な状態で撮影を行った。写真③を見てもらえればわかるがシャッタースピード1/8という極遅なセッティングにも関わらず、まったくブレたりしていない。
これは環境光さえ遮断できれば、実質シャッタースピード=閃光時間となるため。カメラ側のシャッタースピードは1/8でも、実際には1/1000で撮影しているのと同等になる。閃光時間をセコニックの露出計で計測した所、モノブロックでは1/977、ジェネでは1/320秒程度であった。



 


閃光時間をセコニックの露出計L-858Dで測定。



撮影環境があまりに暗いのでAFは若干あいにくいが、通常スタジオのストロボ撮影は絞りF11などにして被写界深度を深くするのが普通なので、大きく動く撮影でなければマニュアルフォーカスで撮影しても特に問題がない。今回はF22まで絞っているのでピントが外れる心配は全くない。明るいモデリングを搭載したストロボなどでは、AFも動作すると思う。


余談ではあるが、使用したSIGMA 65mm F2 DG DN | Contemporaryは、F22まで絞っても全く問題なくシャープな写りを実現できた。非常に小型のレンズなので取り回しもよくミラーレスに最適化されているので、写りも非常によい。
fp Lにはボディ内手振れ補正は搭載されていないが、Panasonic LUMIX S 24-105mm F4 MACRO O.I.S.などの手振れ補正内蔵レンズを使用すればもちろん手振れ補正される。ちなみに外付け電子ビューファインダー(EVF-11)使用時には、ホットシューが使えないので当然ストロボも使用できない。




 


見た目はfpとほぼ同じ。よく見るとさりげなくfpの文字の下にLと刻印されている。 ボタンの配置は同じだが、ボタンの高さや使用感などはfpから進化している。


まとめ

fp Lを使用して“スタジオでのポートレート撮影ができるのか”の結論としては


「仕事では厳しいが、楽しんで撮影するのは可能」。


fp  Lは超高解像度で、フルフレームセンサー、超小型、AFもfpよりかなり進化していて、瞳・顔優先AFも可能、カラーモードも簡単に切り替えができて、楽しく撮影ができる。

昨今は、モノブロック等もLEDのモデリングランプを搭載していたり、LEDの定常光もかなり安くなっているので、うまく工夫すれば環境光とミックスしたり、自然光と組み合わせたり等もできる場合があるので、色々工夫しながら楽しんで撮影してもらればと思う。


ちなみに、仕事でこのカメラしかないといわれたら…… 頑張ります(笑)




Photo&text:松浦武臣 PASHA STYLE

model:SUMIRE
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hair&maike up:森井美津美
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