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[連載:マニアックレンズ道場19]銘匠光学 TTArtisan 40mm f/2.8 MACRO C
誰にでもすすめられる手軽でコンパクト、コストパフォーマンスの高い高性能なマクロレンズ
初心者から上級者までおすすめしたい手軽でコンパクトなマクロレンズ
1万円台前半で買える魅力的な等倍マクロレンズ
今回紹介する「銘匠光学 TTArtisan 40mm f/2.8 MACRO C」は、 日本国内では焦点工房が正規代理店を務める APS-C 向けの等倍マクロレンズです。現在のところ、Sony E、 富士フイルム X、マイクロフォーサーズマウントに対応するものがそれぞれ用意されています。また、キヤノン EF-M、ニコン Z に対応する製品もラインアップされる予定です。
一般的な APS-Cのカメラに装着した場合60mm相当の画角が得られるマクロレンズで、 最大径約62mm×長さ約74mm(マウント部除く)、質量は約370g とコンパクトに仕上がっています。レンズ構成は7群8枚(うち特殊低分散レンズを2枚、高屈折低分散レンズを3枚)。絞り羽根枚数は11枚です。
オートフォーカス(AF)機構を搭載しないマニュアルレンズですが、「TTArtisan 40mm f/2.8 MACRO C」の最大の特徴は価格でしょう。2021年10月現在では実勢価格が13,950円前後と1万円台前半で買える等倍マクロレンズになっています。
各種実写チャートの結果からもみてとれる優秀な光学性能
そんな手軽でコンパクトな「TTArtisan 40mm f/2.8 MACRO C」の実力を各種実写チャートを撮影して検証したのですが、その価格から想像できないほど優秀な結果でした。
イメージサークルの小さい APS-C 用というアドバンテージはあるのですが、絞り開放から高い解像力、美しい前後ぼけ、軸上色収差といった収差の少なさなど、非常に優秀です。
マクロレンズを持っていない方にはメインのマクロレンズとして、すでにマクロレンズを持っている方についても、コンパクトなサブのマクロレンズとして、初心者から上級者にまでおすすめしたい非常によくできたマクロレンズになっています。
この結論に至った理由を電子書籍「銘匠光学 TTArtisan 40mm f/2.8 MACRO C レンズデータベース」 (https://www.amazon.co.jp/dp/B09HQKQPRC/)に掲載した各種実写チャートの一部などといっしょに解説します。
最大撮影倍率と最短撮影距離
16mm×24mmの範囲を画面いっぱいに
最短撮影距離の17cmでSDメモリーカードを撮影。約16mm×24mm の範囲が画面いっぱいに撮影されているのがわかるでしょう。
「TTArtisan 40mm f/2.8 MACRO C」の最短撮影距離は約17cm、 最大撮影倍率は1.0倍(等倍)となっています。
通常35mm判フルサイズのカメラでは、等倍のマクロレンズを使うと約24mm×35mmの範囲を画面いっぱいに写すことができます。ただし「TTArtisan 40mm f/2.8 MACRO C」は等倍撮影可能なAPS-C向けレンズなので、中心部が切り出されるように約16mm×24mmの範囲を画面いっぱいに撮影できるのです。
高い光学性能 解像力・ぼけ・収差
絞り開放から高い解像力、ピークはF8.0前後
A1サイズの小山壯二氏オリジナルの解像力チャートを撮影。開放F2.8、F4.0、F8.0、F11の結果をそれぞれ掲載しました。
今回のテストでは「TTArtisan 40mm f/2.8 MACRO C」のSony E マウント用を使い、Sony α7R IIIのクロップモードで撮影をしています。そのため有効画素数は約1,800万で、基準となるチャートは1.2です。
実際に撮影したチャートの結果をみていくと、中央部分はほかの絞り値に比べると絞り開放のF2.8がわずかに甘く感じる程度で、絞り開放から非常によく解像しています。
一方周辺部分は、さすがに絞り開放のF2.8では甘さを感じますが、絞っていくほどに改善し解像力のピークである F8から F11では、基準となる1.2のチャートをほぼ完全に解像している状態です。
必要十分以上の高い解像力を持っていることがよくわかります。
前後ともに色付きも少なく形も美しいぼけ
絞り開放での中央部分に発生する前ぼけと後ぼけの様子と、F2.8と2段絞ったF5.6の画面各部分での玉ぼけの発生の様子を掲載しました。
絞り開放中央部分での前後の玉ぼけの様子は、多少のフチつきはあるものの、玉ぼけのふちに色つきはなく、ぼけの内部にも気になるザワつきもありません。気になる色つきもなく、なめらかな美しいぼけが楽しめる傾向です。
ぼけの形についても11枚羽根の絞りの設計が優秀なためか、2段絞ったF5.6でもかなり真円に近い形を保っています。また、口径食の影響が少ないようで画面周辺部まで絞り開放からぼけの形が真円に近く、美しいのも特徴的です。
マクロレンズらしい大きなぼけを存分に楽しめる結果と言えるでしょう。
軸上色収差、倍率色収差ともに絞り開放から少ない
小山壯二氏オリジナルの軸上色収差チャートを撮影した結果を掲載しました。
低価格のレンズと言うと各種色収差などが激しく発生するのではないかと心配になる方も多いのではないでしょうか。しかし 「TTArtisan 40mm f/2.8 MACRO C」の軸上色収差や倍率色収差の発生は軽微でした。
掲載した軸上色収差チャートの結果は、ピント位置の手前側にわずかに赤く、奥側でわずかに緑色の色つきが見られる程度。ほとんど気にする必要性のない発生量です。また、倍率色収差については、解像力チャートを使って確認していますが、 こちらも気にするほど発生してはいません。ただし、歪曲収差については、樽型で軽く発生します。
手のひらに収まるようなコンパクトサイズが魅力
レンズ長が大きく変化する繰り出し方式は好みが分かれる
レンズ外装に金属を多用しているため、約370gとややずっしりしていますが、基本的にコンパクトなマクロレンズです。
ピント合わせ時にレンズが大きく繰り出されるため、最短撮影距離に合焦すると無限遠に合焦した時の約1.5倍の長さになります。
「TTArtisan 40mm f/2.8 MACRO C」は、金属パーツを多用しているためか約370gとコンパクトなわりにずっしりとした重量感のあるレンズです。ただし、無限遠側にピントを合わせた状態では、最大径は約6cm、フロントとリアの両レンズキャップを装着しても長さは約9cmと手のひらに収まる程度のサイズになります。
35mm判フルサイズに対応する100mmマクロレンズの約半分といったサイズ感です。おかげでマクロレンズの持ち出すのは面倒だなと思うようなシーンでも気軽に持ち出すことができます。そのため既にマクロレンズを持っている方にも、サブのマクロレンズとしておすすめです。
ただし「TTArtisan 40mm f/2.8 MACRO C」は、全群繰り出しでピントを合わせるレンズのため、最短撮影距離側にピントを合わせるとレンズ長は約13cmと約1.5倍の長さになります。この点は好みが分かれるでしょう。シンプルな全群繰り出しタイプを採用することで低価格で高性能を実現している部分もあるようです。
意外な弱点は周辺光量落ち
絞っても消えない四隅の周辺光量落ち
周辺光量落ちの様子を撮影したチャートです。開放のF2.8、F5.6、F8.0、F16での周辺光量落ちの様子を掲載しました。
35mm判フルサイズ用レンズに比べて、イメージサークルが小さくて済むAPS-C向けレンズは、周辺光量落ちが起きづらい傾向にあります。しかし、「TTArtisan 40mm f/2.8 MACRO C」は、絞り開放付近では明確な周辺光量落ちが観察されました。また、最大絞り値であるF16まで絞っても、四隅のわずかの周辺光量落ちが完全に消えることはいない傾向です。
大きな問題になることはない程度ですが、必要なシーンでは RAW 現像などの後処理で対応するといいでしょう。
実写作例
大きく美しいぼけが楽しめる近接撮影
銘匠光学 TTArtisan 40mm f/2.8 MACRO C/Sony α7R III/60mm相当/絞り優先AE(F2.8、1/25秒)/ISO 400/露出補正:+1.3EV/WB:オート/クリエイティブスタイル:スタンダード
絞り開放の最短撮影距離付近で撮影したバラの花心です。ピントを合わせた花心部分はしっかりとシャープに、それ以外の部分は大きく美しいぼけで表現されています。
絞り込むと画面全体にシャープな描写が楽しめる
銘匠光学 TTArtisan 40mm f/2.8 MACRO C/Sony α7R III/60mm相当/絞り優先AE(F11、1/100秒)/ISO 400/露出補正:+0.3EV/WB:オート/クリエイティブスタイル:スタンダード
視写界深度を稼ぎつつも画面周辺までしっかりシャープに解像させたいと考え、F11で撮影。画面周辺部もパキッとシャープに表現してくれました。
最短撮影距離の17cmでSDメモリーカードを撮影。約16mm×24mm の範囲が画面いっぱいに撮影されているのがわかるでしょう。
「TTArtisan 40mm f/2.8 MACRO C」の最短撮影距離は約17cm、 最大撮影倍率は1.0倍(等倍)となっています。
通常35mm判フルサイズのカメラでは、等倍のマクロレンズを使うと約24mm×35mmの範囲を画面いっぱいに写すことができます。ただし「TTArtisan 40mm f/2.8 MACRO C」は等倍撮影可能なAPS-C向けレンズなので、中心部が切り出されるように約16mm×24mmの範囲を画面いっぱいに撮影できるのです。
高い光学性能 解像力・ぼけ・収差
絞り開放から高い解像力、ピークはF8.0前後
A1サイズの小山壯二氏オリジナルの解像力チャートを撮影。開放F2.8、F4.0、F8.0、F11の結果をそれぞれ掲載しました。
今回のテストでは「TTArtisan 40mm f/2.8 MACRO C」のSony E マウント用を使い、Sony α7R IIIのクロップモードで撮影をしています。そのため有効画素数は約1,800万で、基準となるチャートは1.2です。
実際に撮影したチャートの結果をみていくと、中央部分はほかの絞り値に比べると絞り開放のF2.8がわずかに甘く感じる程度で、絞り開放から非常によく解像しています。
一方周辺部分は、さすがに絞り開放のF2.8では甘さを感じますが、絞っていくほどに改善し解像力のピークである F8から F11では、基準となる1.2のチャートをほぼ完全に解像している状態です。
必要十分以上の高い解像力を持っていることがよくわかります。
前後ともに色付きも少なく形も美しいぼけ
絞り開放での中央部分に発生する前ぼけと後ぼけの様子と、F2.8と2段絞ったF5.6の画面各部分での玉ぼけの発生の様子を掲載しました。
絞り開放中央部分での前後の玉ぼけの様子は、多少のフチつきはあるものの、玉ぼけのふちに色つきはなく、ぼけの内部にも気になるザワつきもありません。気になる色つきもなく、なめらかな美しいぼけが楽しめる傾向です。
ぼけの形についても11枚羽根の絞りの設計が優秀なためか、2段絞ったF5.6でもかなり真円に近い形を保っています。また、口径食の影響が少ないようで画面周辺部まで絞り開放からぼけの形が真円に近く、美しいのも特徴的です。
マクロレンズらしい大きなぼけを存分に楽しめる結果と言えるでしょう。
軸上色収差、倍率色収差ともに絞り開放から少ない
小山壯二氏オリジナルの軸上色収差チャートを撮影した結果を掲載しました。
低価格のレンズと言うと各種色収差などが激しく発生するのではないかと心配になる方も多いのではないでしょうか。しかし 「TTArtisan 40mm f/2.8 MACRO C」の軸上色収差や倍率色収差の発生は軽微でした。
掲載した軸上色収差チャートの結果は、ピント位置の手前側にわずかに赤く、奥側でわずかに緑色の色つきが見られる程度。ほとんど気にする必要性のない発生量です。また、倍率色収差については、解像力チャートを使って確認していますが、 こちらも気にするほど発生してはいません。ただし、歪曲収差については、樽型で軽く発生します。
手のひらに収まるようなコンパクトサイズが魅力
レンズ長が大きく変化する繰り出し方式は好みが分かれる
レンズ外装に金属を多用しているため、約370gとややずっしりしていますが、基本的にコンパクトなマクロレンズです。
ピント合わせ時にレンズが大きく繰り出されるため、最短撮影距離に合焦すると無限遠に合焦した時の約1.5倍の長さになります。
「TTArtisan 40mm f/2.8 MACRO C」は、金属パーツを多用しているためか約370gとコンパクトなわりにずっしりとした重量感のあるレンズです。ただし、無限遠側にピントを合わせた状態では、最大径は約6cm、フロントとリアの両レンズキャップを装着しても長さは約9cmと手のひらに収まる程度のサイズになります。
35mm判フルサイズに対応する100mmマクロレンズの約半分といったサイズ感です。おかげでマクロレンズの持ち出すのは面倒だなと思うようなシーンでも気軽に持ち出すことができます。そのため既にマクロレンズを持っている方にも、サブのマクロレンズとしておすすめです。
ただし「TTArtisan 40mm f/2.8 MACRO C」は、全群繰り出しでピントを合わせるレンズのため、最短撮影距離側にピントを合わせるとレンズ長は約13cmと約1.5倍の長さになります。この点は好みが分かれるでしょう。シンプルな全群繰り出しタイプを採用することで低価格で高性能を実現している部分もあるようです。
意外な弱点は周辺光量落ち
絞っても消えない四隅の周辺光量落ち
周辺光量落ちの様子を撮影したチャートです。開放のF2.8、F5.6、F8.0、F16での周辺光量落ちの様子を掲載しました。
35mm判フルサイズ用レンズに比べて、イメージサークルが小さくて済むAPS-C向けレンズは、周辺光量落ちが起きづらい傾向にあります。しかし、「TTArtisan 40mm f/2.8 MACRO C」は、絞り開放付近では明確な周辺光量落ちが観察されました。また、最大絞り値であるF16まで絞っても、四隅のわずかの周辺光量落ちが完全に消えることはいない傾向です。
大きな問題になることはない程度ですが、必要なシーンでは RAW 現像などの後処理で対応するといいでしょう。
実写作例
大きく美しいぼけが楽しめる近接撮影
銘匠光学 TTArtisan 40mm f/2.8 MACRO C/Sony α7R III/60mm相当/絞り優先AE(F2.8、1/25秒)/ISO 400/露出補正:+1.3EV/WB:オート/クリエイティブスタイル:スタンダード
絞り開放の最短撮影距離付近で撮影したバラの花心です。ピントを合わせた花心部分はしっかりとシャープに、それ以外の部分は大きく美しいぼけで表現されています。
絞り込むと画面全体にシャープな描写が楽しめる
銘匠光学 TTArtisan 40mm f/2.8 MACRO C/Sony α7R III/60mm相当/絞り優先AE(F11、1/100秒)/ISO 400/露出補正:+0.3EV/WB:オート/クリエイティブスタイル:スタンダード
視写界深度を稼ぎつつも画面周辺までしっかりシャープに解像させたいと考え、F11で撮影。画面周辺部もパキッとシャープに表現してくれました。
最短撮影距離の17cmでSDメモリーカードを撮影。約16mm×24mm の範囲が画面いっぱいに撮影されているのがわかるでしょう。
「TTArtisan 40mm f/2.8 MACRO C」の最短撮影距離は約17cm、 最大撮影倍率は1.0倍(等倍)となっています。
通常35mm判フルサイズのカメラでは、等倍のマクロレンズを使うと約24mm×35mmの範囲を画面いっぱいに写すことができます。ただし「TTArtisan 40mm f/2.8 MACRO C」は等倍撮影可能なAPS-C向けレンズなので、中心部が切り出されるように約16mm×24mmの範囲を画面いっぱいに撮影できるのです。
高い光学性能 解像力・ぼけ・収差
絞り開放から高い解像力、ピークはF8.0前後
A1サイズの小山壯二氏オリジナルの解像力チャートを撮影。開放F2.8、F4.0、F8.0、F11の結果をそれぞれ掲載しました。
今回のテストでは「TTArtisan 40mm f/2.8 MACRO C」のSony E マウント用を使い、Sony α7R IIIのクロップモードで撮影をしています。そのため有効画素数は約1,800万で、基準となるチャートは1.2です。
実際に撮影したチャートの結果をみていくと、中央部分はほかの絞り値に比べると絞り開放のF2.8がわずかに甘く感じる程度で、絞り開放から非常によく解像しています。
一方周辺部分は、さすがに絞り開放のF2.8では甘さを感じますが、絞っていくほどに改善し解像力のピークである F8から F11では、基準となる1.2のチャートをほぼ完全に解像している状態です。
必要十分以上の高い解像力を持っていることがよくわかります。
前後ともに色付きも少なく形も美しいぼけ
絞り開放での中央部分に発生する前ぼけと後ぼけの様子と、F2.8と2段絞ったF5.6の画面各部分での玉ぼけの発生の様子を掲載しました。
絞り開放中央部分での前後の玉ぼけの様子は、多少のフチつきはあるものの、玉ぼけのふちに色つきはなく、ぼけの内部にも気になるザワつきもありません。気になる色つきもなく、なめらかな美しいぼけが楽しめる傾向です。
ぼけの形についても11枚羽根の絞りの設計が優秀なためか、2段絞ったF5.6でもかなり真円に近い形を保っています。また、口径食の影響が少ないようで画面周辺部まで絞り開放からぼけの形が真円に近く、美しいのも特徴的です。
マクロレンズらしい大きなぼけを存分に楽しめる結果と言えるでしょう。
軸上色収差、倍率色収差ともに絞り開放から少ない
小山壯二氏オリジナルの軸上色収差チャートを撮影した結果を掲載しました。
低価格のレンズと言うと各種色収差などが激しく発生するのではないかと心配になる方も多いのではないでしょうか。しかし 「TTArtisan 40mm f/2.8 MACRO C」の軸上色収差や倍率色収差の発生は軽微でした。
掲載した軸上色収差チャートの結果は、ピント位置の手前側にわずかに赤く、奥側でわずかに緑色の色つきが見られる程度。ほとんど気にする必要性のない発生量です。また、倍率色収差については、解像力チャートを使って確認していますが、 こちらも気にするほど発生してはいません。ただし、歪曲収差については、樽型で軽く発生します。
手のひらに収まるようなコンパクトサイズが魅力
レンズ長が大きく変化する繰り出し方式は好みが分かれる
レンズ外装に金属を多用しているため、約370gとややずっしりしていますが、基本的にコンパクトなマクロレンズです。
ピント合わせ時にレンズが大きく繰り出されるため、最短撮影距離に合焦すると無限遠に合焦した時の約1.5倍の長さになります。
「TTArtisan 40mm f/2.8 MACRO C」は、金属パーツを多用しているためか約370gとコンパクトなわりにずっしりとした重量感のあるレンズです。ただし、無限遠側にピントを合わせた状態では、最大径は約6cm、フロントとリアの両レンズキャップを装着しても長さは約9cmと手のひらに収まる程度のサイズになります。
35mm判フルサイズに対応する100mmマクロレンズの約半分といったサイズ感です。おかげでマクロレンズの持ち出すのは面倒だなと思うようなシーンでも気軽に持ち出すことができます。そのため既にマクロレンズを持っている方にも、サブのマクロレンズとしておすすめです。
ただし「TTArtisan 40mm f/2.8 MACRO C」は、全群繰り出しでピントを合わせるレンズのため、最短撮影距離側にピントを合わせるとレンズ長は約13cmと約1.5倍の長さになります。この点は好みが分かれるでしょう。シンプルな全群繰り出しタイプを採用することで低価格で高性能を実現している部分もあるようです。
意外な弱点は周辺光量落ち
絞っても消えない四隅の周辺光量落ち
周辺光量落ちの様子を撮影したチャートです。開放のF2.8、F5.6、F8.0、F16での周辺光量落ちの様子を掲載しました。
35mm判フルサイズ用レンズに比べて、イメージサークルが小さくて済むAPS-C向けレンズは、周辺光量落ちが起きづらい傾向にあります。しかし、「TTArtisan 40mm f/2.8 MACRO C」は、絞り開放付近では明確な周辺光量落ちが観察されました。また、最大絞り値であるF16まで絞っても、四隅のわずかの周辺光量落ちが完全に消えることはいない傾向です。
大きな問題になることはない程度ですが、必要なシーンでは RAW 現像などの後処理で対応するといいでしょう。
実写作例
大きく美しいぼけが楽しめる近接撮影
銘匠光学 TTArtisan 40mm f/2.8 MACRO C/Sony α7R III/60mm相当/絞り優先AE(F2.8、1/25秒)/ISO 400/露出補正:+1.3EV/WB:オート/クリエイティブスタイル:スタンダード
絞り開放から高い解像力、ピークはF8.0前後
A1サイズの小山壯二氏オリジナルの解像力チャートを撮影。開放F2.8、F4.0、F8.0、F11の結果をそれぞれ掲載しました。
今回のテストでは「TTArtisan 40mm f/2.8 MACRO C」のSony E マウント用を使い、Sony α7R IIIのクロップモードで撮影をしています。そのため有効画素数は約1,800万で、基準となるチャートは1.2です。
実際に撮影したチャートの結果をみていくと、中央部分はほかの絞り値に比べると絞り開放のF2.8がわずかに甘く感じる程度で、絞り開放から非常によく解像しています。
一方周辺部分は、さすがに絞り開放のF2.8では甘さを感じますが、絞っていくほどに改善し解像力のピークである F8から F11では、基準となる1.2のチャートをほぼ完全に解像している状態です。
必要十分以上の高い解像力を持っていることがよくわかります。
前後ともに色付きも少なく形も美しいぼけ
絞り開放での中央部分に発生する前ぼけと後ぼけの様子と、F2.8と2段絞ったF5.6の画面各部分での玉ぼけの発生の様子を掲載しました。
絞り開放中央部分での前後の玉ぼけの様子は、多少のフチつきはあるものの、玉ぼけのふちに色つきはなく、ぼけの内部にも気になるザワつきもありません。気になる色つきもなく、なめらかな美しいぼけが楽しめる傾向です。
ぼけの形についても11枚羽根の絞りの設計が優秀なためか、2段絞ったF5.6でもかなり真円に近い形を保っています。また、口径食の影響が少ないようで画面周辺部まで絞り開放からぼけの形が真円に近く、美しいのも特徴的です。
マクロレンズらしい大きなぼけを存分に楽しめる結果と言えるでしょう。
軸上色収差、倍率色収差ともに絞り開放から少ない
小山壯二氏オリジナルの軸上色収差チャートを撮影した結果を掲載しました。
低価格のレンズと言うと各種色収差などが激しく発生するのではないかと心配になる方も多いのではないでしょうか。しかし 「TTArtisan 40mm f/2.8 MACRO C」の軸上色収差や倍率色収差の発生は軽微でした。
掲載した軸上色収差チャートの結果は、ピント位置の手前側にわずかに赤く、奥側でわずかに緑色の色つきが見られる程度。ほとんど気にする必要性のない発生量です。また、倍率色収差については、解像力チャートを使って確認していますが、 こちらも気にするほど発生してはいません。ただし、歪曲収差については、樽型で軽く発生します。
手のひらに収まるようなコンパクトサイズが魅力
レンズ長が大きく変化する繰り出し方式は好みが分かれる
レンズ外装に金属を多用しているため、約370gとややずっしりしていますが、基本的にコンパクトなマクロレンズです。
ピント合わせ時にレンズが大きく繰り出されるため、最短撮影距離に合焦すると無限遠に合焦した時の約1.5倍の長さになります。
「TTArtisan 40mm f/2.8 MACRO C」は、金属パーツを多用しているためか約370gとコンパクトなわりにずっしりとした重量感のあるレンズです。ただし、無限遠側にピントを合わせた状態では、最大径は約6cm、フロントとリアの両レンズキャップを装着しても長さは約9cmと手のひらに収まる程度のサイズになります。
35mm判フルサイズに対応する100mmマクロレンズの約半分といったサイズ感です。おかげでマクロレンズの持ち出すのは面倒だなと思うようなシーンでも気軽に持ち出すことができます。そのため既にマクロレンズを持っている方にも、サブのマクロレンズとしておすすめです。
ただし「TTArtisan 40mm f/2.8 MACRO C」は、全群繰り出しでピントを合わせるレンズのため、最短撮影距離側にピントを合わせるとレンズ長は約13cmと約1.5倍の長さになります。この点は好みが分かれるでしょう。シンプルな全群繰り出しタイプを採用することで低価格で高性能を実現している部分もあるようです。
意外な弱点は周辺光量落ち
絞っても消えない四隅の周辺光量落ち
周辺光量落ちの様子を撮影したチャートです。開放のF2.8、F5.6、F8.0、F16での周辺光量落ちの様子を掲載しました。
35mm判フルサイズ用レンズに比べて、イメージサークルが小さくて済むAPS-C向けレンズは、周辺光量落ちが起きづらい傾向にあります。しかし、「TTArtisan 40mm f/2.8 MACRO C」は、絞り開放付近では明確な周辺光量落ちが観察されました。また、最大絞り値であるF16まで絞っても、四隅のわずかの周辺光量落ちが完全に消えることはいない傾向です。
大きな問題になることはない程度ですが、必要なシーンでは RAW 現像などの後処理で対応するといいでしょう。
実写作例
大きく美しいぼけが楽しめる近接撮影
A1サイズの小山壯二氏オリジナルの解像力チャートを撮影。開放F2.8、F4.0、F8.0、F11の結果をそれぞれ掲載しました。 今回のテストでは「TTArtisan 40mm f/2.8 MACRO C」のSony E マウント用を使い、Sony α7R IIIのクロップモードで撮影をしています。そのため有効画素数は約1,800万で、基準となるチャートは1.2です。 実際に撮影したチャートの結果をみていくと、中央部分はほかの絞り値に比べると絞り開放のF2.8がわずかに甘く感じる程度で、絞り開放から非常によく解像しています。 一方周辺部分は、さすがに絞り開放のF2.8では甘さを感じますが、絞っていくほどに改善し解像力のピークである F8から F11では、基準となる1.2のチャートをほぼ完全に解像している状態です。 必要十分以上の高い解像力を持っていることがよくわかります。
前後ともに色付きも少なく形も美しいぼけ
絞り開放での中央部分に発生する前ぼけと後ぼけの様子と、F2.8と2段絞ったF5.6の画面各部分での玉ぼけの発生の様子を掲載しました。 絞り開放中央部分での前後の玉ぼけの様子は、多少のフチつきはあるものの、玉ぼけのふちに色つきはなく、ぼけの内部にも気になるザワつきもありません。気になる色つきもなく、なめらかな美しいぼけが楽しめる傾向です。 ぼけの形についても11枚羽根の絞りの設計が優秀なためか、2段絞ったF5.6でもかなり真円に近い形を保っています。また、口径食の影響が少ないようで画面周辺部まで絞り開放からぼけの形が真円に近く、美しいのも特徴的です。 マクロレンズらしい大きなぼけを存分に楽しめる結果と言えるでしょう。
軸上色収差、倍率色収差ともに絞り開放から少ない
小山壯二氏オリジナルの軸上色収差チャートを撮影した結果を掲載しました。 低価格のレンズと言うと各種色収差などが激しく発生するのではないかと心配になる方も多いのではないでしょうか。しかし 「TTArtisan 40mm f/2.8 MACRO C」の軸上色収差や倍率色収差の発生は軽微でした。 掲載した軸上色収差チャートの結果は、ピント位置の手前側にわずかに赤く、奥側でわずかに緑色の色つきが見られる程度。ほとんど気にする必要性のない発生量です。また、倍率色収差については、解像力チャートを使って確認していますが、 こちらも気にするほど発生してはいません。ただし、歪曲収差については、樽型で軽く発生します。
手のひらに収まるようなコンパクトサイズが魅力
レンズ長が大きく変化する繰り出し方式は好みが分かれる
レンズ外装に金属を多用しているため、約370gとややずっしりしていますが、基本的にコンパクトなマクロレンズです。
ピント合わせ時にレンズが大きく繰り出されるため、最短撮影距離に合焦すると無限遠に合焦した時の約1.5倍の長さになります。
「TTArtisan 40mm f/2.8 MACRO C」は、金属パーツを多用しているためか約370gとコンパクトなわりにずっしりとした重量感のあるレンズです。ただし、無限遠側にピントを合わせた状態では、最大径は約6cm、フロントとリアの両レンズキャップを装着しても長さは約9cmと手のひらに収まる程度のサイズになります。
35mm判フルサイズに対応する100mmマクロレンズの約半分といったサイズ感です。おかげでマクロレンズの持ち出すのは面倒だなと思うようなシーンでも気軽に持ち出すことができます。そのため既にマクロレンズを持っている方にも、サブのマクロレンズとしておすすめです。
ただし「TTArtisan 40mm f/2.8 MACRO C」は、全群繰り出しでピントを合わせるレンズのため、最短撮影距離側にピントを合わせるとレンズ長は約13cmと約1.5倍の長さになります。この点は好みが分かれるでしょう。シンプルな全群繰り出しタイプを採用することで低価格で高性能を実現している部分もあるようです。
意外な弱点は周辺光量落ち
絞っても消えない四隅の周辺光量落ち
レンズ外装に金属を多用しているため、約370gとややずっしりしていますが、基本的にコンパクトなマクロレンズです。
ピント合わせ時にレンズが大きく繰り出されるため、最短撮影距離に合焦すると無限遠に合焦した時の約1.5倍の長さになります。 「TTArtisan 40mm f/2.8 MACRO C」は、金属パーツを多用しているためか約370gとコンパクトなわりにずっしりとした重量感のあるレンズです。ただし、無限遠側にピントを合わせた状態では、最大径は約6cm、フロントとリアの両レンズキャップを装着しても長さは約9cmと手のひらに収まる程度のサイズになります。 35mm判フルサイズに対応する100mmマクロレンズの約半分といったサイズ感です。おかげでマクロレンズの持ち出すのは面倒だなと思うようなシーンでも気軽に持ち出すことができます。そのため既にマクロレンズを持っている方にも、サブのマクロレンズとしておすすめです。 ただし「TTArtisan 40mm f/2.8 MACRO C」は、全群繰り出しでピントを合わせるレンズのため、最短撮影距離側にピントを合わせるとレンズ長は約13cmと約1.5倍の長さになります。この点は好みが分かれるでしょう。シンプルな全群繰り出しタイプを採用することで低価格で高性能を実現している部分もあるようです。
意外な弱点は周辺光量落ち
絞っても消えない四隅の周辺光量落ち
周辺光量落ちの様子を撮影したチャートです。開放のF2.8、F5.6、F8.0、F16での周辺光量落ちの様子を掲載しました。
35mm判フルサイズ用レンズに比べて、イメージサークルが小さくて済むAPS-C向けレンズは、周辺光量落ちが起きづらい傾向にあります。しかし、「TTArtisan 40mm f/2.8 MACRO C」は、絞り開放付近では明確な周辺光量落ちが観察されました。また、最大絞り値であるF16まで絞っても、四隅のわずかの周辺光量落ちが完全に消えることはいない傾向です。
大きな問題になることはない程度ですが、必要なシーンでは RAW 現像などの後処理で対応するといいでしょう。
実写作例
大きく美しいぼけが楽しめる近接撮影
絞り開放の最短撮影距離付近で撮影したバラの花心です。ピントを合わせた花心部分はしっかりとシャープに、それ以外の部分は大きく美しいぼけで表現されています。
絞り込むと画面全体にシャープな描写が楽しめる
銘匠光学 TTArtisan 40mm f/2.8 MACRO C/Sony α7R III/60mm相当/絞り優先AE(F11、1/100秒)/ISO 400/露出補正:+0.3EV/WB:オート/クリエイティブスタイル:スタンダード 視写界深度を稼ぎつつも画面周辺までしっかりシャープに解像させたいと考え、F11で撮影。画面周辺部もパキッとシャープに表現してくれました。
まとめ
マクロレンズ未体験なら絶対に挑戦してもらいたい1本
レンズ交換式のカメラを購入したなら、筆者は超望遠、超広角、明るい単焦点のぼけと同じようにぜひ体験してもらいたいと思うのがマクロレンズでの等倍撮影です。ただしマクロレンズは意外と高価で、比較的安価な商品が多い明るい単焦点レンズのように初心者に「面白いから買ってみなよ」と簡単におすすめできる商品がほとんどありませんでした。「TTArtisan 40mm f/2.8 MACRO C」は、等倍撮影が可能なマクロレンズでありながら、1万円台という手軽な実勢価格が最大の魅力でしょう。 マクロレンズを通して身の回りを撮影すると、今まで見えていなかったような景色が見えてくるので、ぜひ多くの方に使ってみてほしいレンズになっています。 また、初心者向けの手軽なマクロレンズという印象を受ける方も多いかもしれませんが、光学性能が予想以上に高く、収納サイズもコンパクト、しかも価格が安いので上級者のサブのマクロレンズとしてもおすすめです。
●LAOWA Argus 33mm F0.95 CF APOの基本スペック
対応マウント:Sony E、フジフイルム X、マイクロフォーサーズ(キヤノン EF-M、ニコン Zも発売予定)
レンズ構成:7群8枚
絞り羽根枚数:11枚
フィルター径:52mm
大きさ:Φ約62×74mm
質量:約370g
実勢価格:1万3950円前後
(写真・文章:齋藤千歳 技術監修:小山壮二)
https://pasha.style/article/999
マニアックレンズ道場シリーズ
●LAOWA Argus 33mm F0.95 CF APOの基本スペック
対応マウント:Sony E、フジフイルム X、マイクロフォーサーズ(キヤノン EF-M、ニコン Zも発売予定)
レンズ構成:7群8枚
絞り羽根枚数:11枚
フィルター径:52mm
大きさ:Φ約62×74mm
質量:約370g
実勢価格:1万3950円前後
(写真・文章:齋藤千歳 技術監修:小山壮二)
https://pasha.style/article/999
マニアックレンズ道場シリーズ
レンズ構成:7群8枚
絞り羽根枚数:11枚
フィルター径:52mm
大きさ:Φ約62×74mm
質量:約370g
実勢価格:1万3950円前後