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【PASHA REVIEW】最新LEDライトを使ってテストシュート
ストロボのマエストロKayが作品撮りに使いました
昨年12月にPhottixの日本総代理店のSAEDAから人気のRGBライト『M200R RGB Light』を大きく進化させた『M500R RGB Light』と『M1000R RGB Light』が追加発売。携帯サイズのLEDライトだと“光量不足になる”から大きいものが欲しいと考えていた方は必見のアイテム。SAEDAさんからデモ機をお借りすることができたので、PASHA STYLEポートレートナビゲーターのKayさんにテストシュートをお願いしました。モデルはKERAやゴシック&ロリータバイブルのモデル、東 真千子さん。ストロボのマエストロのKayさんがRGBライトの色の使い方やLEDライトの注意点をわかりやすく解説します。
【STAFF】
Photographer:Kay(Twitter、Instagram)
model:東 真千子(Twitter、Web)
LEDライトを使うとセッティング時間が短縮できます
作例① シャッター速度:1/60 絞りF4 ISO200 レンズ:NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S(58mm) |
PASHA STYLE編集部(以下編)「Phottixのライトを使ってみたい印象を教えてください」
Kay(以下K)「スチール撮影の照明は基本的にストロボを使っていますが、HMIと呼ばれる動画撮影用の照明機材を使う場合もあります。出力も大きく色も綺麗なんですが業務用機材のため大きく重く価格も高価です。最近SNSでも話題になっているので、RGBライトは気になっていました。ただ実際の撮影に使えるのかなぁ? という疑問もありました。今回、使ってみた感想としては“十分以上に使える”という感じです」
編「撮影現場を見学させていただいたのですが、とにかく驚異的にセッティング時間が短い印象だったのですが……」
K「LEDライトの撮影は定常光なのでセッティングはやりやすいです。何故なら目で見た光の色と強弱がほぼそのまま再現可能になるからです。今回の撮影ではRGBライトの特徴である色とりどりに変化する光源を活かしたライティングを組んでみました。昭和レトロの雰囲気のある場所で撮影したのですが、もっと怪しい感じに仕上げたかったので色を付けてみました。作例①~④を見てもらうとわかるのですが、背景は2色で補色同士の色を組み合わせることを意識して色を選んでいます。この組み合わせを作るのがRGBライトでは非常に楽。ストロボを使ったフィルターワークだとフィルターの濃さと光量のバランスで色味が変わってくるので、慣れていても10分とか15分、あるいはそれ以上セッティングに時間がかかります。フィルター初心者だと出したい配色にするまでかなり時間がかかるので難しいかもしれないです。それがこのRBGライトなら定常光なので簡単です。ストロボのフィルターワークが苦手だけどカラーフィルターを使った撮影をしたい方にはオススメですね。ライティング自体は背景に2灯、顔に1灯の3灯でライティングしました。顔に当たる光は色がついていると変になる可能性があるので、顔のライトは太陽光に近い色温度(5500K)に設定してあてました」
モデルの背後を照らす②と③のライトはRGBモードで使用。メイン光はLED①とストロボ④をすばやく切り替えできるようにセッティング。 | ②のライトは一番コンパクトなRGBライトのM200Rを使用。色はレッドの補色になるブルーにセット。ダイヤルを動かすと色相と彩度を調整できる。 | モデルさんから見て左側のライトは今回発売されたモデルの中でも一番大きなRGBライトM1000R。色は怪しさ満点のマゼンダ系を照射しました。 |
作例② シャッター速度:1/60 絞りF4 ISO200 レンズ:NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S(64mm) |
定常光なので見た目のままでイメージしやすい
編「ストロボも使用されていましたがLEDライトとの違いはあるのでしょうか?」
K「ストロボとLEDを比べてしまうと、どうしてもLEDのほうは光量が弱いです。ビューティフォトのように髪の毛やまつ毛を1本1本きっちりと解像させて見せたいといったシーンでは閃光時間の短い瞬間光のストロボのほうが使いやすいですね。なので、今回は背景はLEDライトでメイン光はストロボとLEDを切り替えらえるセッティングで撮影しました。基本はLEDで撮影していたのですが、もっとシャープにきっちり解像させたいと思ったときはメインをストロボに変えて撮影しました。この時に気を付けないといけないのは背景との光量のバランスです。ストロボは自分が普段撮影で使っているコメットのストロボ(モノブロック)を使用したのですが、背景とのバランスを考えるとメイン光(④)は弱く発光させてあげないといけないので、一番弱い1/128で飛ばしました。モノブロックストロボは光量を絞り難いのでクリップオンストロボのほうが相性が良さそうです」
作例③ シャッター速度:1/60 絞りF2.8 ISO400 レンズ:NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S(70mm) |
編「LEDのメイン光はトランスルーセントを使っていて、ストロボは直あてでしたが、どういう意図で使い分けていたのでしょうか?」
K「僕の場合、ストロボを使用する時はアクセサリーを使わずに“ベアバルブ”つまりアクセサリーを付けずに生の直接光をメインライトにすることが多いのですが、LEDはストロボよりも直進性の強い硬い光なので硬さが気になります。今回、使ったRGBライトは大きさが3種類あって、新しく発売されたモデル(M1000RとM500R)は従来モデル(M200R)と比べると光源が大きな面光源になり、かなり使いやすい印象でした。実際の撮影では光の当たり具合をみてLED特有の硬さが気になる時にはトランスルーセントを使用しました。ちなみに頑丈でしっかりとした作りのアンブレラホルダーが付属品で驚きました。これしっかりできているからアンブレラホルダーだけでも購入したい感じです」
作例③は背景のスタンドの明かりを雰囲気を崩さないようにライティング。モデルから見て左にマゼンダ系、右からパープルを照射している。 | メインの光はアクセサリーとしてトランスルーセントを使用。LEDの光は直進性が強く硬いので光のあたり具合を見ながら調整していく。 | LEDとストロボを組み合わせて使う場合は、ストロボは光量を小さくできるものが使いやすい。写真のモノブロックストロボは光量を最弱の1/128にしてグリッドを付けて使用。 |
作例④ シャッター速度:1/60 絞りF2.8 ISO400 レンズ:NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S(52mm) |
まとめ
編「最後に今回の撮影での感想などありましたらお願いします」
K「最初にも言いましたが、僕はスチールの撮影では基本的にLEDライトをあまり使いません。今回テストシュートとして使ってみて、感想としては最近のカメラ自体がISO感度200~400のノイズ感がとても良くなっていたり、ブレ防止機能の性能が向上しているので、LEDライトを使ってライティングするのはとても有効だと感じました。特に良かった点はLEDは定常光なのでライティングが見えるところです。環境光とミックスして照明を瞬間的、感覚的にセッティングできるので、セッティングにかかる時間が半分以下になっていると思います。見たままになるのでモデルさんも何となくどんな雰囲気になっているのかも伝わるのがよかったです。難点としては良いカットが撮れすぎちゃうことですね(笑) セッティングの時間が短縮できるので、シャッターをたくさん切れます。これは家に帰ってセレクト作業が大変。ちょっとだけ欲を言えば、オプションアイテムとしてグリッドやバーンドアなどの光を絞り込めるアイテムが欲しい。付属のアンブレラホルダーを使えば光を拡散できるのですが光を絞ろうとすると方法がないのです。あとPhottix(フォティックス)はライトスタンドも販売しているので、LEDをお借りする時に編集部のほうで一緒に借りてくれたのですが、こちらも使いやすかったです。特に小さいタイプ(Phottix Saldo 62 Light Stand)が新鮮でした。頑丈にできているのとバラバラにすると小さくなるので持ち運びに便利でした」
ライティングに使用した機材はコレ
Phottix M1000R RGB Light
【仕様】 詳細はコチラ
演色評価数:CRI 96+、TLCI
98+
色相:RGBカラー 0~360°全色再現
色温度:3200K~5600K
最大明るさ/照度:3200Lux @0.5m(5600K)
最大出力:24W
バッテリー:充電式3.7V 20000mAh
充電時間:約8時間(5V 2.4A)
持続時間:最大出力(5600K)で約200分
USB入力:5V 3A USB-C
USB出力:5V 3A USB/USB-C
サイズ:280×180×13.7mm
重量:992g
Phottix M500R RGB Light
【仕様】 詳細はコチラ
演色評価数:CRI 96+、TLCI
98+
色相:RGBカラー 0~360°全色再現
色温度:3200K~5600K
最大明るさ/照度:2000Lux @0.5m(5600K)
最大出力:18.5W
バッテリー:充電式3.7V 10000mAh
充電時間:約8時間(5V 2A)
持続時間:最大出力(5600K)で約120分
USB入力:5V 3A USB-C
USB出力:5V 3A USB
サイズ:200×121×13.7mm
重量:508g
Phottix M200R RGB Light
【仕様】 詳細はコチラ
演色評価数:CRI 96+
色相:RGBカラー 0~360°全色再現
色温度:3200K~5600K
最大明るさ/照度:1200Lux @0.5m(5600K)
最大出力:10W
バッテリー:充電式3.7V 4000mAh
充電時間:約4時間(5V 2A)
持続時間:最大出力(5600K)で約90分
USB入力:5V 2A USB-C
USB出力:5V 2A USB
サイズ:151×80×11.5mm
重量:200g
Phottix Saldo 62 Light Stand(62cm/24“)
【仕様】 詳細はコチラ
全伸高:620mm
格納高:365mm
ねじ規格:オスダボ1/4“
重量:0.9㎏
耐荷重:1.5㎏
実はカメラはニコンZ9を使ってます
Z9のレビュー記事は近日公開予定‼
テストシュートは生粋のニコン使い
お耽美写真家Kayさんです
text:SATO TAKESHI