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【PASHA REVIEW】円形ソフトボックスを使ってみた
使用機材Phottix Raja Quick-Folding Softbox
「認定作品を多くしたい」「印象的な写真に仕上げたい」など、自分のイメージする作品を表現するために必須となるのが光を自在にコントロールする技術。そのひとつとしてストロボのライティングテクニックは必要ですよね。
カメラ初心者の方だと、ストロボはカメラのホットシューにつけて使うものと思っている方も多いかもしれませんが、今回は“脱初心者!”を目指して、ストロボの可能性を広げてくれるカメラからストロボを離して使うオフカメラライティングにチャレンジしたいと思います。この時に重要なのがストロボのアクセサリーを使うこと。なぜ重要かというとアクセサリーを使うと光の質が劇的に変わるからです。
今回のレビューではPASHASTYLEのポートレートナビゲーターで光の魔術師のイルコ アレクサンダロフさんが実際に愛用している円形ソフトボックスの『Phottix Raja Quick-Folding Softbox』を紹介していきます。
作例① シャッター速度:1/250 絞りF2.8 ISO100 カメラ:SONY α7III レンズ:TAMRON28-75mm F2.8 Di III RXD(59mm) |
作例①~③は先日開催されたPASHA STYLEの長野合宿のセミナーで撮影したもの。霧の中に立つモデルの片桐愛羅さんをスポットライトで浮き上がらせるような作品を撮影したのはセミナー参加者のtakaさん(takaさんの認定作品はココから見られます)。ストロボのセッティングはセミナー講師をお願いしたイルコさんです。撮影時は霧が出る曇天で明暗差がすくないフラットな環境でしたが、ライティングテクニックでしっかりとコントラストのあるドラマチックな写真になるようにセッティングしてくれました。背景は実際の露出よりも暗く落として、人物にはしっかりとストロボの光を当てています。この時に重要になるのが、円形ソフトボックスの『Phottix Raja Quick-Folding Softbox』(以下「Raja」)。ライティングはシンプルな1灯ライティング。光源は大きくしたほうが柔らかい光になるので、オフカメラでの人物撮影のメインライトにはアクセサリーが必須です。Rajaは雨の時に使う傘と同じ構造を採用することで素早くライティングの準備ができるのが特徴。円形のボックスはセッティングに時間がかかる印象だったのですがRajaは驚くほど短時間で準備ができます。
ストロボの芯がしっかりとモデルさんに顔に当たるように調整していく、これがライティングの基本。講師のイルコさんが繊細に調整。 | 撮影時は霧雨が降っていたのでストロボにビニール袋をかけて濡れないセッティング。熱の逃げ場も考えてビニールは緩めにしている。さすが雨撮影に慣れているイルコさんという感じ。 | しっかりと背景を落として被写体を浮かび上がらせたいのでストロボはフル発光。本来の光量だとストロボ同調速度を超えてしまうので可変NDを使用してセッティング。 |
注意点としてはストロボの前面にビューティーディッシュもしくはディフューザーを設置しないと光にムラができてしまうところ。ライティングをしたイルコさん的にはビューティーディッシュにディフューザーつけて柔らかい光で仕上げたかったようですが、使用したストロボがクリップオンタイプで、光量が足りなかったのでビューティーデッシュのみを使ったセッティングとなりました。光の質的にはビューティーディッシュのみで使うとオパライトのような光の芯は柔らかく周辺はギラっとした画を写せます。
ビューティーディッシュを装着することでオパライトの様な雰囲気を楽しむことができる。傘の内側はシルバーを採用しているので集光効果でストロボのみの光量よりも1段強い光になる。 | Rajaはスタジオ機材が多く採用しているボーエンズマウントを採用しているので、クリップオンストロボで使う場合は写真のCerberus Multi Mount Kitが必要(別売)。 | テスト撮影をしたらモデルさんに仕上がりのイメージを見せてあげる。肉眼で見ている風景とは全然違う画が撮影できるのでモデルさんのテンションも上がります。 |
このライティングのポイントは光の芯を顔にあわせること。ちなみにボックスの内側がシルバーなので集光効果でストロボ単体で使うよりも1段ぐらい露出が稼げます。実際にイルコさんが愛用しているのはRajaの中でも一番小さい65cmモデル。持ち運びの良さからこのサイズをチョイスしているそうです。セミナーではボックス+ビューティーディッシュのセッティングになりましたが、Rajaはボックス+ディフューザー+グリッドなど様々なライティングを施すことができるので、自分の撮りたい画に合わせて変化させることができます。
作例② シャッター速度:1/160 絞りF2 ISO640 カメラ:SONY α7III レンズ:Voigtlander NOKTON 21mm F1.4 Aspherical |
作例②は夜のセミナーで撮影したものでストロボを2灯使用してセッティング。メインのライトは65cmのRajaにビューティーディッシュを装着したシンプルなセッティング。もう1灯はモデルの真後ろからカメラに向かって照射。こうすることで真っ暗に落ちてしまって味気ない背景に木のシルエットを加えている。さらに背景のストロボにはブルーのフィルターを装着することで、肉眼で見ている風景とは別物のイルコ流のドラマチックな雰囲気に仕上げています。
合宿が行われた信州高山温泉郷の夜は本当に暗い。携帯用のLEDライトで自分たちの位置を照らしながら撮影。このライトがなかったら何も見えない環境。 | メインライトは昼間同様にRaja65cmで傘+ビューティーディッシュの構成。この状態だと背景が真っ暗になるのでモデル後方からブルーのフィルターを装着したストロボをセットして合計2灯でセッティング。 | モデルから見て高い位置からストロボを照射してあげることで違和感のない仕上がり。ちなみに撮影現場を照らしているLEDは撮影時には影響が出ないように微調整をして撮影を行いました。 |
作例③ シャッター速度:1/160 絞りF2.8 ISO800 カメラ:SONY α7III レンズ:TAMRON28-75mm F2.8 Di III RXD(28mm) |
まとめ
今回はクリップオンストロボを使って大人数での撮影だったので、光量とストロボのチャージサイクルの問題からRajaにビューティーディッシュのみをつけたスタイルで撮影したが、Rajaはさまざまなタイプの光を楽しめるのが特徴のアクセサリー。合宿では1種類しか使わなかったのでRajaの代表的なセッティングをセットしてみたのが、下の写真4点です。ひとつのアクセサリーでディフューザーを追加したり、グリッドを追加することで繊細なライティングを追求できます。こうしたところが光の魔術師イルコさんの愛用アクセサリーになっている理由なのです。
ビューティーディッシュを装着。 | インナーディフューザーを装着。 | アウターディフューザーを装着。 | グリッドを装着。 |
商品紹介
Rajaは円形でありながら傘のような機構を採用することで、簡単にセッティングができて、そして光が綺麗なところがイルコさんのお気に入りのポイント。細部を見れば見るほど、Rajaが実によく作り込まれたアクセサリーだということがわかります。インナーディフューザーは中心部を2重にすることで光が均一になるように作られて、装着はマジックテープを採用することで簡単でしっかりと固定できるようになっています(写真A、B)。特に注目したいのはアウターディフューザーとグリッドの装着状態(写真C、D)。高い精度で作られているので隙間なくキッチリと装着することができます。製品にはボックス本体、ビューティーディッシュ、ディフューザー(インナー、アウター)、グリッド(120cmと150cmには付属しません)、写真には写っていないが収納用のバッグも用意されています。
サイズバリエーションも豊富
65cm | 85cm | 105cm | 120cm |
長野合宿用にポートレートに最適な4種類(65cm、85cm、105cm、120cm)のサイズをお借りしました。イルコセミナーでは65cmサイズのみを使いましたが、光源は大きければ大きいほど柔らかい光になるので85cm、105cm、120cmの3種もポートレート撮影にちょうど良さそうです。実はRajaには今回お借りしたサイズよりも巨大な150cmサイズも用意されているのですが、風が吹いたりする屋外ロケではちょっと大きすぎるので、今回はお借りしませんでした。スタジオ撮影なら風の心配もないので、一度使ってみたいサイズです。
Raja Quick-Folding Softbox 65cm 2万4750円(税込)
Raja Quick-Folding Softbox 85cm 2万8380円(税込)
Raja Quick-Folding Softbox 105cm 2万9700円(税込)
Raja Quick-Folding Softbox 120cm 3万1570円(税込)
Raja Quick-Folding Softbox 150cm 3万3440円(税込)
【STAFF】