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  • 【PASHA REVIEW】F0.95のレンズを使ってみた‼
    『七工匠 7Artisans 25mm F0.95 ED』をテスト





フォトグラファーなら使ってみたいと思うのが、F値が明るい単焦点レンズ。開放で撮影して背景をボカして撮影をしたい。ニコンだとZマウントで『NIKKOR Z 58mm f/0.95 S Noct』(税込販売価格126万5000円)が2019年に発売されて話題になりました。F値が明るいレンズを作るのは技術的にも難しいのでメーカーも気合いを入れて製品を作っています。レンズの素材なども高価なものが多く使われている場合が多く、そのおかげで製品価格も高い! 正直、価格が高すぎて手が届きません。そんな夢のF0.95レンズがお手軽な価格で楽しめるのが、今回紹介する『七工匠 7Artisans 25mm F0.95 ED』。明るいレンズならボケ味を生かした撮影がしたいので、編集部サトーがポートレート撮影に使用してみました。撮影に協力してくれたのはフリーモデルの夢々さん。



【モデル】
名前:夢々
Twitter:@Mikael_0506
Instagram:@ mikael_140506
PASHA STYLE:4866

 

 

 

 

 


作例① シャッター速度:1/500 絞りF0.95 ISO100 カメラ:Nikon Zfc


ポートレートに使ってみて

撮影に使用した『七工匠 7Artisans 25mm F0.95 ED』は開放F0.95を実現したAPS-Cセンサーに対応した準広角レンズ。対応マウントはソニーEマウントをはじめ、キヤノンEF-M、富士フイルムX、マイクロフォーサーズなど7種類に対応しています。今回のテストシューティングではクラシカルなデザインが特徴のニコンZfc(ニコンZマウント)を使用しました。
焦点距離は25mm(35mm判に換算すると38mm)とポートレートで使うにはちょっと難しい焦点距離だと思いながらテストをさせていただきました。普段はAFレンズを使用しているので、慣れないマニュアル撮影(開放F0.95だとピントは超薄)で失敗カットを乱発するのではと心配だったのですが、実際に使ってみるとMF初心者でも使いやすかったです。撮影にご協力いただいた夢々(むむ)さんには、ピントを手動で合わせないといけないのでゆっくりと動くようにお願いしました。



作例② シャッター速度:1/500 絞りF0.95 ISO100 カメラ:Nikon Zfc


もちろん、ここぞという決めカットでは夢々さんにはしっかりと止まってもらいました。数カット撮影した段階で普段使用しているレンズよりもコントラストが高い印象を受けたので、背景と被写体との露出バランスがなるべくフラットになる場所を選んで撮影。パキッとしたコントラストの高いシーンは苦手な印象だったので、撮影時は難しいレンズだと思ってドキドキしました。




作例③ シャッター速度:1/250 絞りF1.4 ISO100 カメラ:Nikon Zfc


撮影後にPCで撮影画像を確認すると嬉しい誤算だったのが、開放F0.95でピントを少し外してもコントラストが高めなので、線がしっかりと出てピントが外れた面は柔らかい描写になるので十分使えることがわかったことでした。もちろんピントがあっていたほうがシャープでパキッとするのですが……。作例②は光が差し込むシーンで背景が生きるカットを撮影しました。コントラストが強いシーンになるのでピクチャーコントロールをスタンダードからフラットに変更。この写真で見てもらいたいのがハイライトに出る収差(作例②拡大)です。白い部分が絶妙に滲む幻想的な雰囲気が気に入りました。ただ被写体が小さくなるとピントがシビアになります。そこでF1.4ぐらいまで絞ったものを撮影してみたのが作例③です。絞るとピントがシャープになるので、使いやすいレンズになりますが、収差も同時に改善されてしまうので、F0.95の独特な幻想的な雰囲気が消えてしまうのが悩みどころです。






 


作例②拡大
作例③拡大







作例④ シャッター速度:1/500 絞りF0.95 ISO100 カメラ:Nikon Zfc




作例④は意地悪をして太陽を画角に入れてフレアやゴーストが出ないかテスト。見事にフレアが出てくれました。ただオールドレンズと違うのが、フレアが出ているけどピントはシャープ。拡大してみるとしっかりと解像しているのがわかります。雰囲気のある画が撮りたいけどモデルさんはしっかりと見せたいという方にはオールドレンズよりもこのレンズがオススメです。ちなみに2段程度絞るとフレアも劇的に軽減されます。作例⑤は絞りをF2に設定して撮影。大陽が画面にしっかりと入っていると絞っても多少フレアが残ります。





作例⑤ シャッター速度:1/125 絞りF2 ISO100 カメラ:Nikon Zfc
 

 

 


作例⑥ シャッター速度:1/250 絞りF0.95 ISO100 カメラ:Nikon Zfc


作例⑥はピントがバッチリ決まったカット。まつ毛にだけピントがあって、頬はボケる感じを味わうとこの画を撮るためだけにF0.95のレンズが欲しくなります。ただし開放で撮影する時は太陽の位置を気にしないと、ちょっとしたことでフレアが出てしまうのが悩みどころ。ただこの肌補正が必要なくなるボケ感は素敵です。



 
 





作例⑦ シャッター速度:1/125 絞りF0.95 ISO100 カメラ:Nikon Zfc


まとめ

このレンズのストロングポイントはF0.95の開放F値のレンズが5万3820円(税込)という破格の価格で楽しめるところ。正直なところ使う前は、安いレンズで写りはそこそこで開放F0.95が楽しめるだけがポイントのレンズだと思っていました。使ってみて驚いたのはF0.95とは思えないほどの使いやすさ。コントラストが高いので少々ピントが外れても甘い描写という感じで画として成立します。また作例④で説明した通りフレアが出てオールドレンズのような味も楽しめつつ、中心部はしっかりと解像するので絞っても解像しないオールドレンズを使うぐらいなら今回テストした『七工匠 7Artisans 25mm F0.95 ED』を使ったほうが表現の幅が広がりそうです。







 


 


ちょっとしたシーンでもフレアがでるのでノスタルジーな雰囲気に写せます。
近接撮影をするとよりボケ感を楽しめるので、見せたいものに視線を誘導できるのも嬉しい。
開放で使うとコントラストのある場面ではハイライト部が滲むので幻想的なシーンを写すのに最適。


実は夢々さんの撮影の後に軽くスナップ撮影もしてみました。25mm(35mm判に換算すると35mm)の焦点距離は広角レンズが搭載されているスマホの撮影になれた現代っ子の僕には使いやすい焦点距離でした。ポートレートだけでなくスナップも楽しんで欲しい1本です。


あとミラーレス機なら個人的にオススメしたいのがフルサイズのカメラでの使用。APS-Cに対応したレンズと聞くとフルサイズ機では使う印象がないと思うのですが、撮影サイズをAPS-Cにあわせれば、ファインダーの中はフルサイズ用レンズと同じ見え方で使えるのでAPS-Cレンズのデメリットを感じません。特にニコンの場合は、フルサイズ機には手ぶれ補正機能が付いているのでオススメです。







 


 


最短撮影距離は25㎝なので、ポートレートはもちろんのことテーブルフォトにも最適。
絞り羽根は13枚を採用しているので、絞り込んだ時のボケ味もバッチリ。
日中のポートレート撮影で開放F0.95の撮影を楽しむ場合はNDフィルターを用意することをオススメ。


最後にマニュアルフォーカスにオススメの設定(ニコンZfcの場合)

マニュアルフォーカスレンズを使う場合にどうしても不安になるのがピント。そんな悩みを解決してくれるのが拡大表示。ミラーレスカメラはファインダー内でも拡大表示できるので便利です。今回、使用したニコンZfcには、動画録画ボタンに拡大表示を割り当てるのがオススメです(やり方は写真①~⑤を見てください)。








 


 


赤い印が付いているのが静止画撮影時に使用しない動画録画ボタン。


①背面のMENUボタンを押して、カスタムメニューを選択し「f操作」を選択する。
②「f操作」を選択したら、さらに「f2カスタムボタンの機能(撮影)」を選択する。










③イラスト付きの設定画面で動画撮影ボタンを選ぶ。写真だと右側2段目。

④さまざまな機能を割り当てできるが、今回は拡大表示を行いたいので「拡大画面との切り替え」を選択する。


⑤拡大表示は低倍率(50%)、等倍(100%)、高倍率(200%)から選択できる。オススメは等倍。






七工匠 7Artisans 25mm F0.95 ED

【仕様】

焦点距離:25mm(35mm判換算:ニコンZ 38mm相当、ソニーE 38mm相当、富士フイルムX 38mm相当、キヤノンRF ・EF-M 40mm相当、ライカL 38mm相当、マイクロフォーサーズ 50mm相当)

対応撮像画面サイズ:APS-Cフォーマット

最小絞り:F16

レンズ構成:9群11枚

絞り羽根:13枚

最短撮影距離:0.25m

サイズ:62-66φ×92-97mm(マウント部除く)

フィルター径:52mm

質量:585-615g

マウント:ニコンZ、ソニーE、キヤノンEF-M、キヤノンRF、富士フイルムX、マイクロフォーサーズ、ライカL

価格:5万3820円(税込)

 

 

 

text:SATO TAKESHI