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  • レスリー・キー写真展「LIFE」「JOURNEY」を開催
    ポートレート作品について直撃インタビュー




8月22日からキヤノンギャラリー Sで、キヤノンギャラリー50周年企画展 レスリー・キー写真展「LIFE」がスタート。この写真展はキヤノンギャラリーが2023年2月に開設50周年を迎えたことを記念した企画展の第3弾として計画されたもので、8月22日から「LIFE」がキヤノンギャラリー S(品川)、9月5日から「JOURNEY」がキヤノンギャラリー銀座・大阪の3拠点で順次開催される。開催に先駆けてメディア向けの内覧会が開催されたので、“世界的なセレブリティを撮影している写真家レスリー・キーさんにお話を伺えるチャンス!”ということでPASHA STYLE編集部のサトーが「LIFE」の展示を中心にポートレートについてインタビューしてきました。



 


 


今年でギャラリー開設50周年となるキヤノンギャラリー。
内覧会ではレスリー・キーさんの友人の平原綾香さんが2曲歌を披露。
ギャラリーの入り口には様々なブランドやメディアから花が届いていました。



【プロフィール】

Leslie Kee(レスリー・キー)

シンガポール生まれ。フォトグラファーとしてアート、ファッション、広告の撮影、映像監督などを中心に世界各国で活動。彼が手掛ける写真とアートマガジンのシリーズ「SUPER」は、世界の企業やYOHJI YAMAMOTOをはじめとするファッションデザイナーなどと積極的にコラボレーションを仕掛ける。LGBTのポートレートを撮影するプロジェクト「OUT IN JAPAN」は、第19回文化庁メディア芸術祭エンタテインメント部門審査委員推薦作品に選出されている。

2016年からはNHKと共にオリンピック・パラリンピックの東京大会(2020年)の応援をテーマにしたプロジェクト「→2020 レスリー・キーがつなぐポートレートメッセージ」をスタート。2000名以上のポートレート撮影とプロモーション映像を監督した。




【展示内容】
レスリー・キーは15歳の時に、ファッションフォトグラファーの第一人者であるリチャード・アヴェドンの写真集を手にしたことをきっかけに写真に夢中になり、写真家への歩みを始めました。キヤノンギャラリー Sで開催されている今回の写真展は、彼の「人生」に多大な影響を与えたアヴェドンが生誕100周年を迎える2023年に開催することから、「LIFE」と名付けられました。モデルや著名人をシンプルな背景で撮影した、被写体の美しさが際立つ作品を展示。レスリー・キーが25年間で撮影した作品群から、ソロカットはモノクロ、グループカットはカラーを中心に、計179点もの作品で構成されています。
9月5日からキヤノンギャラリー銀座・大阪で行われる展示は、これまでの写真家生活を「写真の旅」に例えた「JOURNEY」というタイトルのもと、街を背景にモデルや著名人を撮影したファッションストリートフォトを展示予定。銀座ではインドとアフリカで撮影した作品を中心に54点、大阪ではパリで撮影した作品を中心に58点が展示されます。すべての展示作品は、キヤノンの最新大判プリンター「imagePROGRAF」でプリントされています。

 

 



ギャラリーの外から見えるところにも写真を展示。今年の3月に亡くなられた坂本龍一さんや山本耀司さんもモデルとして登場。


それではレスリー・キーさんのインタビューをご覧ください


今回の展示「LIFE」のテーマを教えてください

昨年の夏ぐらいにキヤノンギャラリー50周年記念の展示のお話をいただきました。今年でフォトグラファーになって25周年。私は人生の記録をするのが自分のライフワークのひとつだと思っています。人生の中の25年という時間をかけて、いろいろな人たちの“人生”を撮影してきたので、展示のタイトルは「LIFE」がいいなぁと思ってつけました。自分はまだ一度もモノクロだけのポートレートの展示をしたことがなかったので、そのタイミングが来たと思い、今回はモノクロの作品を展示することを決めました。 隣の部屋はグループ写真で構成されています。我々はコミュニティで暮らしたり、国々で暮らしたり、都会で暮らしたり、業界の家族、業界意外の家族と色々なところで家族を作っているので隣はテーマが家族のような写真となっています。


※「LIFE」の展示はモノクロポートレートとグループ写真の2部構成になっています。


レスリー・キーさん初となるモノクロポートレートだけの展示。リチャード・アヴェドンをトリビュートした作品はシンプルで圧巻。




 


 


作品にも登場する12名の著名人からのメッセージもありました。
ファッション誌やCDアルバム、映画のメインビジュアルもモノクロになるとイメージが変わります。
大きなプリントはキヤノンの最新プリンター「imagePROGRAF」でプリントされたもの。


モデルが有名な方ばかりなのですが、どうやって撮影したのでしょうか?

作品の8割は雑誌の表紙やCDアルバムのジャケ写、テレビのドラマ、映画のポスター、舞台のポスターなどのメインビジュアル撮影の流れで撮影しました。残りはファッションマガジンでのエディトリアルのポートレートや、アーティストと私が行った作品撮りになります。テーマが違う様々な瞬間が混ざっていますが、どんな撮影でもわかりやすくその人のポートレートを残したいという気持ちが入っています。


今回、展示されている作品の中には雑誌などで使われているものもあるのでしょうか?

実際に使われている写真もあります。例えばオリンピックのスケートボードで初めてのゴールドメダリストになった堀米雄斗さんは香港のファッション誌の表紙で、掲載はカラーでしたね。歌舞伎の市川團十郎(市川海老蔵)さんの写真は舞台ポスターとして使用されたモノです。浜崎あゆみさん、赤西仁さんの写真はパンフレット写真。もちろんアザーカットの時もあります。オノヨーコさんの写真は雑誌のプロフィール紹介用の写真のアザーカットですね。それからヴォーグの表紙に使われた写真など色々ありますね。仕事では採用されなかった写真でも自分が好きなものもあるし、YOSHIKIさんの写真は15年前に撮影したのですが、何年たっても私もYOSHIKIさんもこの写真が好きです。彼とは何回もその写真の後に撮影はしているのですけどね(笑)


実際の作品はモノクロで撮影されたのでしょうか?

実際はカラーで撮影されたものがほとんどです。今回の展示は写真家のリチャード・アヴェドンをトリビュートした作品になるので、展示用に撮影されたものはモノクロに合わせたライティングにしてあります。2023年、今の自分が一番表現したいポートレートは、ノーカラー、背景もノーカラーのブラック&ホワイトで表現したこの写真になります。デジタルだとカラー写真でも後からモノクロに変換ができるのですが、モノクロ作品用に撮り下ろした作品はキーライトなどライティングを変えてあります。



作りこまれたグループショットはレスリー・キーさんの魅力が満載。スタジオで撮影されたものからロケで撮影されたものまで様々なものが展示されていました。


カラーのグループショットはどうやって撮影されたのでしょうか?

作品の8割がファッション誌の撮影です。ファッション誌じゃないとあんなファッションの衣装は集まらないですからね。いろいろなシーズンのファッション写真があります。


モノクロはアヴェドンをトリュビュートした作品ですがカラーは?

カラーはレスリー・キー!! 自分で言うのも変なのですけど、こんなにグループショットを撮影している写真家は世界にいないと思います。もしギネスで“グループショットを撮影した写真家”というジャンルがあったら登録したいです。私のグループショットは全部作り込みだからDJのいるパーティーショットだと千人ちかく人がいるのですが、それも私たちでセッティングしています。



ハイブランドで着飾って撮影されたグループ写真などジャンル分けして展示。グループ写真の中にもモノクロで仕上げたアヴェドン風の写真があるのもニクイところ。


あなたにとって“良いポートレート”とはなんですか?

自分が好きなポートレートを撮る写真家たちも、やっぱり生きることに対してすごく豊かに生きていると思います。心豊かになればなる程、人が輝くポートレートになると思います。ちょっと変な言い方だけど、暗い写真は好きですか? ダークに暗く撮るのを得意としている人も多いと思うのです。私はダークに撮るのは得意じゃない。人が輝く瞬間を押さえた私のスタイルはポートレートの一部でしかないので何ともいえないのですが、いいポートレートの正解を出すのは難しいですね。暗いポートレートでも良いものもあるし、切ないポートレートでもいい作品もいっぱいある。切ないポートレートを撮ってみようと思ったこともあるのですけど、やっぱりその人が輝くポートレートになってしまう。もちろんいつも同じテーマを撮ろうとしているわけではないのですが知らないうちに写真展で飾られているような輝く瞬間を撮っています。私は喜びと輝く気持ち、夢をみる気持ちなどをたくさんの人にシェアできればすごく素敵だと思って、そういう気持ちを作品に込めています。



 


ロケで撮影されたグループ写真もスタジオの写真に負けないぐらいインパクト大。
レスリー・キーさんの魅力が爆発しているのがカラーのグループ写真。


以上でインタビュー終了です

世界のセレブを撮影しているレスリー・キーさんの作品づくりの方法や考え方など、とても参考になるお話を伺えました。会場内に大きくプリントされている圧巻のポートレート作品はすべて最新のキヤノンの大判プリンター「imagePROGRAF」でプリントされたもの。ぜひPASHA STYLE読者の方には見てほしい展示です。9月からはキヤノンギャラリー銀座と大阪でレスリー・キーさんの「JOURNEY」の展示がはじまります。銀座の展示はインドとアフリカで撮影されたもので、大阪の展示はパリの街が撮影されたスナップの作品が展示されます。コチラも必見です。



キヤノンギャラリー50周年企画展

レスリー・キー写真展「LIFE」「JOURNEY」

【開催概要】
「LIFE」
会場:キヤノンギャラリー S
住所:東京都港区港南2-16-6 キヤノン Sタワー 1F
期間:2023年8月22日(火)~10月3日(火)
開館時間:10:00~17:30
休館日:日曜、祝日
入場:無料
詳細はコチラ
 

 

「JOURNEY.1」(銀座会場)
会場:キヤノンギャラリー 銀座
住所:東京都中央区銀座3-9-7
期間:2023年9月5日(火)~9月16日(土)
開館時間:10:30~18:30
休館日:日曜、月曜、祝日
入場:無料
詳細はコチラ
 
 
「JOURNEY.2」(大阪会場)
会場:キヤノンギャラリー 大阪
住所:大阪府大阪市北区中之島3-2-4 中之島フェスティバルタワー・ウエスト1
期間:2023年9月5日(火)~9月16日(土)
開館時間:10:00~18:00
休館日:日曜、月曜、祝日
入場:無料
詳細はコチラ




 

 

text:SATO TAKESHI