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【写真展】PASHA STYLE認定作品展vol.8レビュー
グランプリを手繰り寄せたのは……
ポートレート専門メディアであるPASHA STYLEの3本の柱。「紙(雑誌)」、「WEB(キュレーションサイト)」、「プリント(展示)」。ポートレートが人と人とが生身で共鳴し合うことで生まれるモノだとすれば、その作品をプリントし生身の人にリアルに伝えたいと志向することは地続きであると思う。より多くのポートレートクリエーターにその場所を提供し、刺激を受け合い、さらに素晴らしい作品を生み出すモチベーションの一助になるようにと企画されたポートレート合同写真展「PASHA STYLE認定作品展」の第8回目が2024年3月に開催。認定クリエーターとビギナーズクリエーター総勢49名の作品が広々とした北千住のギャラリーに並ぶ素晴らしい展示となった。
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普段ポートレート作品をSNSやキュレーションサイトなどに投稿しているフォトグラファーやモデルが、写真展に参加するということは、いつもとはまた違った角度と深度を持って自分の作品と向き合うということだ。何を伝えたいのか、そのためにどの写真を、何枚選ぶのか。与えられた空間にどんなサイズで、どのようにレイアウトするのか。額装なのか、パネルなのか、それ以外か。実際にプリントをしてみる。うまくいく場合も、イメージと違う場合もある。そんなことを繰り返すうちに展示の日を迎える。来場者の声に耳を傾け、周りの作品が目に入り、自身に足りなかった部分を知る。通常の写真展ではここまでで終わるわけだが、「PASHA STYLE認定作品展」では来場するプロフォトグラファーのみなさんがレビュアーとして出展者に直接作品のレビューをしてくれる。写真とは何か。作品とは何か。観せるとは何か。プロフェッショナルな目線のレビューからは自身では気づけなかった視点や考え方を得ることができ、次の創作への道標となってくれるだろう。また同様のベクトルでポートレートに向き合う仲間に出会えることもこの合同写真展の意義のひとつであることは疑いようがない。
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そんな趣向の写真展に渾身の作品で参加していただいた49名の作品の中にあって、来場者の協賛メーカーのプロフォトグラファーの心に響いたPASHA STYLE認定作品展vol.8のグランプリ、準グランプリ、各賞の受賞者を紹介したいと思う。
グランプリ
むらさき(model)
title:「希望」
準グランプリ
嘉-yoshi-(photographer)
title:「りこもこ」
PASHA STYLE認定作品展vol.8のグランプリは来場プロフォトグラファー、識者からの投票によりモデルとして出展していただいたむらさきさんの作品と決まった。モデルエントリーでのグランプリ受賞は今回が初めて。むらさきさんは近年多くのフォトグラファーからの支持を獲得している人気モデルの中のひとりとして、積極的にモデル活動や展示活動をしてきた方だ。自身のモデルとしてのスキルを高めることに精力的に取り組む姿勢が今回のグランプリを手繰り寄せたのだろう。そんな彼女にはグランプリの副賞として「個展開催権」を授与することとなった。グランプリ受賞者として彼女自身初の個展が9月14日から開催される。彼女の持つオリジナリティとそれを写し取るフォトグラファーのオリジナリティが熱く、静かに、融合する個展が今から楽しみだ。ぜひ次回vol.9では貴方の作品でグランプリを目指して欲しい。
【text:kimihiro kawano】