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    Voigtländer×瀬尾浩司【第2回】APO-ULTRONを語る



PASHA STYLE Vol.11連動 X(cross)shooting
大口径、コンパクトな中望遠レンズ
Voigtländer APO-ULTRON 90mm F2 × 瀬尾浩司
インタビュー第2弾!

2025年1月に株式会社コシナから発売されたVMマウントレンズ 「Voigtländer APO-ULTRON 90mm F2」と写真家の瀬尾浩司さんのコラボレーションシューティング! 特別インタビューの2回目はこのレンズのコトなどについて色々瀬尾さんに語っていただきました。 誌面の作品、ここでしか見れない作品と併せてお楽しみください!


瀬尾 浩司 / Hiroshi Seo
広島県福山市出身。 京都精華大学デザイン科卒業後、植田正治氏に師事。2000年よりフリーの写真家として広告・ファッション・雑誌など様々な分野で活躍。PASHA STYLEポートレートナビゲーター
http://hiroshiseo.com ■ Instagram ■ PASHA STYLE





 


💬 それでは今回のレンズ「Voigtländer APO-ULTRON 90mm F2」についてお伺いします

最初の印象はね、ボディにつけてみて「あ、小さいな」というのをまず感じたね。大口径の長玉ってことだったからもっとこう長くて大きいのかなと想像していたんだけど実際のレンズを見てみたらコンパクトでね、そして軽い。程よいサイズでホールドするのに丁度いいんだ。ピントリングを回す感じもスーッと滑らかに回って、軽すぎず気持ちのいい重さがあって高級感がある。サイズもそうだけど金属製の質感とデザインがLeica M11のボディによく馴染んでて所有欲を満たしてくれる。そんなプロダクトになってるんじゃないかな。絞りリングを回す感触はLeicaの純正に比べると少し固め。半段刻みで回していく感覚が掴みやすいというのがあったね。


指3本分に収まるコンパクトなレンズのサイズ感がわかるだろうか
金属銅鏡の質感と精度の高いプロダクト。赤の差し色がLeicaのボディにジャスト


💬 APO-ULTRONを使う上で注目したポイントはどこでしょう

APO-ULTRONの名前に入っている「APO」は「アポクロマートレンズ」を使用しているということなんだよね。赤、青、緑、3色の光の収差を極限まで抑えるように設計されてて、色にじみのない、スッキリとコントラストのある美しい写真が撮れるってレンズとして作られているんだと思う。僕らの仕事なんかでいうと建築関係の仕事をメインにやってる写真家が「アポタイプレンズ」を好んで使ってたなという印象を持っていて、建築写真家の村井修さんとか、建築なんかを専門に撮っていたナカサアンドパートナーズ(写真事務所)なんかがアポタイプのレンズを使ってたよね。そういう印象があったので絞って撮った時のシャープな印象と、それとは真逆のF2開放のフワッとした感じがどう表現されるのかってところがこのレンズを使う上でのポイントだなと思いながらスナップしてた。柔らかいもの(人物)と硬いもの(構造物など)をどう描き分けてくれるのかなと思っていたけど、その部分は見事にクリアしてくれて気持ちよく撮れたよ。



開放F2での作例。90mmという長玉なので薄いピント面でふわりとした描写。背景の玉ボケもうるさくならず溶けるように美しく出ている


絞りF8での作例。構造物を撮ってみるとアポクロマート設計レンズの恩恵を感じる歪みのないクリアーな描写が楽しめる


💬 どんなユーザーにオススメできますか

普段ポートレートをメインで撮っているんだけど、ちょっとした風景イメージも1本のレンズで撮りたいっていう人にはもってこいのレンズだと思う。それぞれのカメラマンの中で"風景"をメインに撮りたいのか、"ポートレート"をメインに撮りたいのかってあると思うんだけど、それを考えるとこのレンズの長さが90mmというのがまずはポートレートを撮るのにちょうどいい距離だなというのがあるので、人物メインに撮りたい人にはまずは使ってみて欲しいレンズだよ。


💬 この時代にマニュアルレンズを使う面白さ、惹かれるところはどこなんでしょうね
それはもうね趣味の世界じゃないですか。車と一緒でね。今の時代、電気自動車に乗った方が確かに便利で安く上がる。いろいろな運転のサポートもコンピューターが行ってくれてドライバーに優しい。といっても、昔のさ、この車のこのエンジンのサウンドが気持ちよくて乗ってて最高だぜっていうのがあるじゃない。きっとそういうものなんだよマニュアルレンズって。カメラが追い求めたロマンみたいなものがこのレンズの中に入ってるわけ。ただ目的地に速く行くとか、速く正確に撮れるというだけのものじゃない。そうじゃないフィーリングも大事にしたいわけ。だから両方欲しい。今の世代の人達は両方を愛せるんだから。だからアナログも好きだしデジタルも好きだよっていうね。どっちが正義かなんてことはどっちでもよくて。あれもいいしこれもいいしどっちも大事にしていこうって感覚でいいと思うんだよね。そういえば僕ね10年くらい前かな。2年間くらいマニュアルレンズしか使わなかった時期があるんですよ。仕事でも。最新のボディでマニュアルレンズだけ使ってね。マニュアルレンズでフォーカスを合わせていくっていうのがすごく気持ちがいいなと思ったタイミングがあって。その期間があったので今回このVoigtländerのAPO-ULTRONを使わせてもらった時にその感覚が蘇ってきて心地よかったね。ファインダーの中でスーッとフォーカスが合っていく感じ。それがどんどん上手くなっていく感じ。そういうところがマニュアルレンズを楽しむ面白さなんじゃないかな。


柔らかいものから、硬いものまでオールマイティに描き出すVoigtländer APO-ULTRON 90mm F2の魅力を引き出した瀬尾さんの作品群



💬 Voigtländerレンズとのコラボレーションはいかがでしたか
今回レンズのご縁で「Terminal」っていうテーマで撮ったわけだけど、これをこの機会だけで終わらせるんじゃなくて1年間くらい撮り続けてみても面白いかなと思ったね。春夏秋冬、時期が変われば人も変わってくるからね。いつも使っている馴染の機材ではなくて、慣れない「レンズ」や「ボディ」から思いつくアイデアとか気づきっていうのも確かにあって。撮り続けているとさ、好不調の波ってあるでしょ? なんか最近いい写真が撮れないなとか。そんな感覚に僕が陥っている時に師匠たちから言われたのが「カメラを変えてみたら」っていうアドバイス。それでいつもは使わないパノラマカメラなんかを持ち出して撮ってみたりすると新しい刺激があって。いい時の感覚が蘇ってきたりするんだよね。そんな感じでひとつのカメラやお気に入りのレンズにこだわる楽しさももちろんあるんだけど、使ったことのない機材を使っての作品撮りっていうチャレンジがとても面白かった。今はいろいろな機材が選択できる時代だから。それこそ最新のデジタルカメラから写ルンですまで。ポートレート撮影を楽しんでいるユーザーも様々なことにトライしてみてほしいね。




X shooting協力メーカー




コラボレーションレンズ情報

Voigtländer APO-ULTRON 90mm F2(VM MOUNT)
RGBの軸上色収差を抑えるアポクロマート設計と12枚の絞り羽根が生み出す美しいボケ味。精密なマニュアルフォーカス機構とコンパクトなボディが、高性能かつ滑らかな操作感を実現するレンジファインダー用レンズ。
●焦点距離:90mm ●口径比:1:2 ●最小絞り:F16 ●レンズ構成:7群8枚 ●画角:27.4° ●絞り羽根枚数:12枚 ●最短撮影距離:0.9m ●距離計連動範囲:∞〜0.9m(使用するカメラにより異なる)●最大径/全長:φ61.9x63.3mm ●フィルターサイズ:φ52mm ●重量:340g ●レンズフード:専用フード付属 (リバース装着可能) ●カラー:シルバー/ブラック
価格:13万2000円(税込)







雑誌連動インタビュー第2弾はいかがでしたか?
次回は「APO-ULTRON 90mm F2」についてさらにさらに深堀りしていきます! お楽しみに!


▶ 瀬尾浩司インタビュー1回目はこちら

今回「Voigtländer APO-ULTRON 90mm F2」で撮影された作品は、
雑誌PASHA STYLE Vol.11に掲載されています。
ぜひそちらと併せてお楽しみください。
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【text:kimihiro kawano】