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  • 『PHOTONEXT2025』取材レポート
    ポートレートに使える最新機材を一挙紹介!!






 2025年6月10日と11日、パシフィコ横浜で開催された『PHOTONEXT2025』に取材に行ってきました。プロ向けの機材や商材、写真関連製品の展示やセミナーが数多く行われるこのイベントには、今年もポートレートユーザーにとって気になる製品が盛りだくさん。中でも特に印象に残ったブースを、メーカーごとにご紹介していきます。

 



写真はハーネミューレの新製品『Photo Rag Matt Baryta』。


ジェットグラフ

https://www.jetgraph.jp/


ファインアートプリント用の用紙を中心に、出力にこだわる人にとって見逃せない製品が多数展示されていました。中でも注目だったのが、ハーネミューレの『Photo Rag Matt Baryta』。マットでしっとりとした質感ながら、蛍光増白剤を使用していない点が特長で、白の再現性や肌の階調を丁寧に描き出したいポートレート作品にも最適な印象でした。さらに、ILFORDから新発売されたファインアート和紙『手漉き和紙 柳瀬』も目を引きました。和紙の柔らかい風合いと高い発色性を兼ね備えており、カラー・モノクロどちらでも映える、ポートレート表現の幅を広げてくれる用紙です。そしてフィルム派にとって嬉しいニュースがもうひとつ。5月に発売された『KENTMERE 200』は、ILFORDの品質管理下で製造される信頼のブランドで、価格を抑えながらも確かな描写力を持つ白黒フィルム。35mmと120の両フォーマットが用意されており、日常使いのフィルムとして心強い存在になりそうです。



 


 


ハーネミューレ『Photo Rag Matt Baryta』は蛍光増白剤を使用していないのにしっかりと白が表現できる。
ILFORDの新製品は展示などでも人気の和紙のファインアート紙『手漉き和紙 柳瀬』。フィルムカメラファンには嬉しい新製品『KENTMERE200』。白黒フィルムで35mmと120のフォーマットを用意している。








最近のシューティングシーンで必須のLEDライト。写真はリーズナブルなプライスの『VLA-40WS』。


常盤写真用品

https://www.tokiwa-style.com/

自社ブランドTOKIWA STYLEから登場したLEDライト『VLA-40WS』が展示されていました。最大出力40W、色温度27006500Kまで調整可能で、内蔵バッテリーで最大2時間使用可能という仕様ながら、価格は税込1万1000円と非常に手頃。屋外でも活用しやすいポータブル性が魅力的なモデルです。また、同ブースで展示されていた試作品のミニ三脚も印象に残りました。一見すると変わった形状のミニ三脚ですが、実はLEDライトを懐中電灯のように手持ちでも使える構造になっており、さらに脚を伸ばすと1メートルほどの高さまで展開できるというアイディア商品。製品化されたら注目が集まりそうです。





 



会場で注目を集めていたのがAIレタッチソフト『EVOTO』。


Evoto

https://www.evoto.ai/ja

今回の展示の中でも特に多くの来場者の注目を集めていたブースのひとつです。従来のAIレタッチでは「やりすぎ」な補正になってしまい、実用に耐えないケースも多かったのですが、Evotoはその印象を大きく覆してくれました。操作はスライダー中心で直感的。人物の顔を自動で認識し、それぞれに異なる補正を適用できるため、1枚のレタッチを基準に他のカットにも同様の処理を施せるのが非常に便利です。自然でナチュラルな仕上がりが可能なこのソフトは、ポートレートユーザーにとって心強い味方になってくれそうです。ソフトは無料で書き出す時にクーポンが必要になります。ちなみにPASHA STYLEでは200枚プランが割引になるクーポン(クーポンコード:EVPASHA)も配布中です。
 


 


 


ブースでは実際にEVOTOがお試しできるようにPCがズラリとありました。
無料セミナーでは撮影ブースも設置していて、撮影からレタッチまでのワークフローも紹介されていました。
写真はEVOTOの代表ウイリアムさん。AIを使うことで写真のレタッチが分かることを熱弁。








フルカラーのLEDライト『FC-500C』に装着されているのはビューティーディッシュリフレクター『BDR-BM-70』。



NANLITE

https://nanlite.jp/


LED照明に関連した注目製品が2点展示されていました。ひとつはホワイト塗装のリフレクターを備えたボーエンズマウント対応のビューティーディッシュリフレクター『BDR-BM-40と『BDR-BM-7040cm70cm2サイズ展開で、グリッドとディフューザーがセットになっていながら、価格も抑えられているのが魅力です。もうひとつは、ズーム機構を搭載したプロジェクションアタッチメント「PJ-BM-25-45」。照射角度を2545度で調整可能で、本体が360度回転することで照射方向も自在にコントロールできるため、より繊細なライティングを行いたい現場にぴったりのアイテムです。


 

 


 


ビューティーディッシュリフレクターの内部はホワイトに塗装が施されている写真は40cmモデルの『BDR-BM-40』。


レンズを搭載し25°から45°まで角度を調整できる『プロジェクションアタッチメントPJ-BM-25-45』。
プロジェクションアタッチメントを使えば、こういった特殊効果を生み出すことも可能。










写真左から『iM22』『iM20』『iM30』。超ミニマムな温カメラフラッシュ。

 
ケンコープロフェッショナルイメージング

https://www.kenko-pi.co.jp/


Godoxの新製品と、新たに取り扱いを開始したモニターブランド「PortKeys」の製品が展示されていました。Godoxからは、最近のミラーレス機にちょうどいい小型ストロボが4機種登場。『iM22』『iM20』『iM30』はマニュアル発光専用で、『iA32』はマニュアルと外光オートを制御できるアイテム。価格(税別)も5900円と9100円と非常に手に取りやすい設定。バッグに常備しておきたいアイテムです。また、LEDパネルライトの『LDX100R』も展示されており、こちらは色温度2500〜10000Kまで調整可能。バッテリーはVマウントに対応しているためロケ撮影でも頼れる仕様です。そしてPortKeysは、プロの映像現場でも活躍が期待される高機能モニター。12機種のラインアップが用意されており、カメラとワイヤレス接続すればズームやタッチフォーカスをモニター側から操作できるというハイエンドな仕様が魅力です。



 


 


『iA32』はオートとマニュアル発光のモードを搭載したモデルで価格は9100円(税別)でリーズナブル。
フルカラーパネルライトの新製品『LDX100R』も展示されていました。最大出力は120Wで高演色性を実現したモデル。
写真は『LH7P』で無線でカメラの制御をおこなっているところ、オートフォーカスがワイヤレスで操作できるのがスゴイ。

 




『テザーワン』はリキッドシリコン素材を採用することで柔らかいのが特長。


よしみカメラ

https://443c.com/


よしみカメラのブースではテザー撮影時に活躍するUSB-Cケーブル『テザーワン』が展示されていました。最大の特長は柔らかさにあり、断線防止のために硬く作られがちな従来のテザーケーブルとは異なり、リキッドシリコン素材を使用することで高い柔軟性と耐久性を両立。10万回の折り曲げ試験をクリアしながら、最大で40Gbps※5.5mモデルは20Gbps)の高速転送にも対応しています。その他にも同ブースでは、イメージビジョンが7月から販売を開始しているdatacolorの露出計とカラーメーターが一体となった『LightColor Meter、そしてFALCAMの新製品『Move LightGo』など、撮影現場での機動性と効率を高めてくれる周辺機器が多数展示されていました。



 


 


USB-Cに対応したテザーケーブル『テザーワン』は0.4m、3m、5.5mを用意。8月下旬には10mと15m版も発売予定。
datacolorからは露出計とカラーメーターがひとつになったメーター『LightColor Meter』が登場。スマホと連携することで様々な測定ができる。
ライトスタンドに装着することでストロボやLEDの角度を自由に変えられるアイテム。オプションでワイヤレスリモコンの設定もあり。






 
Adobe

https://www.adobe.com/jp/


Photoshopの最新AI機能が紹介されており、生成AIを使った画像編集やポートレートレタッチ向けの削除ツールなど、進化を続けるレタッチ技術に来場者の関心が集まっていました。AIが撮影後の工程にも深く関与する時代の流れを感じる展示となっており、制作現場の効率化に一層期待が高まります。


オススメの最新の機能は削除ツールとAI生成


 


 


ツールバーから除ツールを選びブラシサイズを調整して、消したい部分を塗り潰します。

最新バージョンではAI技術によって「被写体を選択」や「背景を削除」が可能になり、マスクを使わなくても消したい部分が簡単に選択できます。



このように不要なものを簡単に削除できます。人物が左端によっている場合はキャンバスサイズ広げて中央に配置するためのスペースを作ります。
 








キャンバスサイズを広げるだけでは背景が足りない場合、選択ツールで範囲を指定するとコンテキストタスクバーが表示されるので「生成塗りつぶし」をクリックすれば自動で背景を補完できます。

生成を実行すると3つのバリエーションが提示されるので、自分のイメージに合うものを選べます。イメージと合わなかった場合は再度「生成」をクリックすることで、別のバージョンを作成できます。


このようにして完成したのがこの画像です。以前は複数の機能を駆使して不要物を消していた作業も、今では簡単に美しく仕上げることができます。






まとめ

PHOTONEXTというとプロフェッショナル向けの展示会という印象が強いかもしれませんが、実際に足を運んでみると、ポートレートを楽しむユーザーにとっても役立つ製品やヒントが数多く見つかります。機材や表現の幅を広げたいと考えている方にとって、来年の開催もぜひ注目していただきたいイベントです。
 
 
 

TEXTSATO TAKESHI