-
山下雅実 写真展「ホログラム」
この変わらない世界に、老いていく私が見つけた輝き
|
「見ること」とは何か──。視覚障害者への取材を通して制作した作品「ALT」で2025年(第33回)林忠彦賞を受賞した写真家・鶴巻育子さん。その鶴巻さんが主宰するJam Photo School鶴巻ゼミで写真を学ぶ山下雅実さんが初個展「ホログラム」を開催します。
鶴巻さんは受講生の視点を尊重しながら作品づくりへ導く柔らかな指導に定評があり、山下さんも7年間そのゼミで学び続けてきました。その山下さんは毎朝セルフポートを撮影し自分自身と向き合いながら生まれたのが今作になります。会期中には講師である鶴巻さんとのギャラリートークも開催予定。
【作家ステートメント】
毎朝セルフポートレイトを撮っています。
63 歳を迎えた4 年前、ステレオの右スピーカーの音が妙に弱く感じられることがあり、不安になって耳鼻科を受診すると、補聴器の使用を勧められました。少し戸惑いはありましたが、今では好きな音楽を以前と同じように楽しめています。このことをきっかけに、老いというものを自分のこととして意識するようになりました。
同じ時間、同じ場所、同じ構図で撮影される写真の私は、ほとんど変わらないように見えます。けれど実際には、身体の中では細胞が絶えず入れ替わり、皮膚はおよそ1 か月、血液は4 か月、肝臓は1 年で新しくなり、数年で体内のほとんどの細胞が別のものに置き換わるといいます。67 歳の私にとって、その変化はもはや成長ではなく確実に老いているということです。
セルフポートレイトを撮影するカメラの向こう側に広がる景色が気にかかり、三脚ごとカメラをベランダへ持ち出して、その風景も撮るようになりました。そこにあるのは、今日も明日もその先も変わらない世界です。
|
【作家プロフィール】
山下雅実(やました まさみ)
1958年 福岡県北九州市生まれ。大学進学を機に上京後、アパレルメーカー勤務を経て物流会社へ転職。2024年退職。高校時代に写真部に所属していたが、その後しばらく遠ざかり、55歳で写真を再開。PHaT PHOTO 写真教室を経て鶴巻育子ゼミに7年間所属。主にスナップ作品を撮り続け、本展が初個展となる。趣味はゴルフ、DJなど多彩。
【ギャラリートーク】
「山下雅実 × 鶴巻育子」ギャラリートーク
日時:11月30日(日) 15:00〜16:30
参加費:無料
予約:不要
【展示概要】
山下雅実 写真展「ホログラム」
会期:2025年11月25日(火)〜11月30日(日)
会場:Jam Photo Gallery
住所:東京都目黒区目黒2-8-7 鈴木ビル2階B号室
時間:12:00〜18:00(最終日は17:00まで)
休廊:月曜
入場:無料
Text:SATO TAKESHI





