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Inter BEE 2025 機材レポート 第3回
便利なアイテム編
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Inter BEE 2025では、レンズや照明といった主役級の機材だけでなく、撮影現場を支える“サポート系アイテム”も豊富に展示されていました。派手さこそないものの、あるだけで現場の効率が大きく変わる重要な存在です。ロケやスタジオでの小回り、微妙な光の調整、電源管理、色管理、リギング作業など、作品づくりの裏側には必ずこうした道具が関わっています。今回のレポート記事(第3回)では、LEDライトやライトアクセサリー、色管理ツール、特殊演出アイテムなど、“撮影の実務”を支えてくれるアイテムを紹介します。
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ロケでも扱いやすい“持ち運べるモノブロックタイプのLEDライトのバリエーションが増える。 |
GODOX
ケンコープロフェショナルイメージング
ストロボからLEDライトまで幅広いラインナップを展開するGODOXのブースでは、LEDライトを中心にさまざまなアイテムが並んでいました。GODOXのアイテムは、コストパフォーマンスと実用性を兼ね備え、プロからハイアマチュアまで多くの撮影現場で活躍しています。今回の展示では、日本未発売のモデルも数多く展示されていたため、本記事ではLEDアイテムを中心に紹介します。
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写真は『ML150Bi』、光の強さは『ML80Bi』の倍以上の61,054Lux@1mを実現している。 |
『ML80Bi』はバッテリーML-BAが付属されているので、すぐに外で使うことができる。 |
『LM-VMA』を使えばVマウントバッテリーで使用可能。ちなみに『ML150Bi』は付属品で『ML80Bi』はオプション品。 |
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展示ブースで特に目を引いた新製品が『ML80Bi』と『ML150Bi』。小型で人気の『ML60ⅡBi』をよりパワフルに進化させたモデルで、どちらもバッテリー駆動に対応。電源のないロケーションでも利用できるのがポイント。両モデルとも共通のシステムを採用しているため、後からバッテリーやホルダーを追加購入すれば、同じように運用ができる。そのほかにもGODOXでは気軽に使えるリングライト『LR120Air』、バー型ライトの『LC500R mini』そしてモバイルバッテリーとしても使える『MA5R』などたくさんの新製品&参考出品のアイテムが展示されていました。
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『LR120Air』はSNS動画やYouTube向けにも使いやすい軽量リングライト。。 | 『LC500R mini』はコンパクトなバーライトなのでポートレートにも活躍が期待される万能なモデル。 | マグネット式ワイヤレス充電にも対応しているフルカラーライト『MA5R』。アプリを使えばワイヤレスでコントロールも可能。 | ||
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| トキナー の『VISTA-C』シリーズは最新の光学デザインとヴィンテージの質感を融合した“モダン・クラシック”な描写が特徴。 |
KPI
ケンコープロフェショナルイメージング
フォトグラファーや動画クリエイターを強力にサポートしてくれる機材の総合商社 KPI(ケンコープロフェショナルイメージング)では、トキナーのシネマレンズをはじめ、マシューズ、Aladdinなど、プロフェッショナルが注目するアイテムが多数展示されていました。KPIブースでひときわ存在感を放っていたのが、トキナーのシネマレンズ『VISTA-C』。ヴィンテージライクな質感と最新光学を融合した “モダン・クラシック” な描写が特徴で、映像クリエイターから高い評価を得ているシリーズです。
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| 焦点距離などをオレンジで表示しているのが『VISTA-C』の特長。18、25、35、40、50、65、85、105、135mmの9本のレンズをラインナップ。 | 『VISTA-C』シリーズは最新の光学デザインとヴィンテージの質感を融合した“モダン・クラシック”な描写が特徴。 | |
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写真左の『MICRO Grip マスターリギングキット』は小型カメラやライトを固定するためのリギング機材をセット化したもの。写真右は『Pocket C-Stand』手のひらサイズの“ミニCスタンド”。 |
ライトスタンドでお馴染みのマシューズからは、新製品の『MICRO Grip マスターリギングキット』が展示されていました。同キットは小型ライトやカメラの固定に使える各種リギングアイテムがまとめられており、これ一式で幅広い現場に対応できる。その他には手のひらサイズの 5インチ『ポケットCスタンド』も展示されていました。見た目はミニチュアですが、本物同様に堅牢なスチール製で、マシューズらしい造形のこだわりが光る逸品。
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小型LEDの常識を超える実力派モデル『アラジン ALITE2』。 |
KPIブースでの“推しアイテム”として紹介されていたのが アラジンの『ALITE 2』。一見するとスタンダードなLEDライトに見えますが、搭載された機能は完全にプロ仕様。小型LEDでは珍しい 着脱式バッテリーを採用し、予備バッテリーを使えば長時間撮影に対応できる。5色(シアン・ライム・アンバー・インディゴ・ディープレッド)のLED素子を採用したフルカラー仕様で、色温度は1700K〜20000K と幅広いレンジを持っている。気になる演色性はCRI 96〜99 と非常に高い性能を有している映像プロフェッショナルも驚くスペックを備えたモデルです。
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小型LEDライトでは珍しいバッテリーが交換できるモデル。USB-C PDによる急速フル充電にも対応。 |
シアン、ライム、アンバー、インディゴ、ディープレッドの5つのLED素子を採用することで色温度を1700K~20000Kの間で設定可能。 |
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モノブロックタイプのプロ仕様のLEDライトと匹敵するほどの調整幅が魅力のライト。写真は小型LEDでは見たことのない20000Kの光。 |
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ケンコー・トキナー
https://kenko-tokina.co.jp
フィルター、三脚、レンズ、ライティング機材など幅広い製品が揃う ケンコー・トキナー のブースは、写真と映像ユーザー双方の関心を集める総合機材空間でした。その中からクリエイター視点で実用性と表現の拡張性が光る 注目アイテム5点 を厳選してご紹介します。
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「MOLUS X200」シリーズは最大出力を210Wに強化したモデルで、バイカラーとRGBの2モデルを用意している。 |
ZHIYUNの「MOLUS X200シリーズ」は、従来モデルから最大出力を210Wへと強化したLEDライト。ラインナップはスタンダードモデルの『MOLUS X200』とRGBモデルの『X200 RGB』の2機種を用意する。バイカラー仕様の『MOLUS X200』は2700~6500Kの色温度に対応。一方、RGBモデル『X200 RGB』は2500~10000Kまでの幅広い色温度レンジに加え、フルカラー調整ができるのがポイント。両モデルともCRI95の高い演色性を確保し、より自然で高品質な光を実現している。電源はVマウント電源アダプター、Vマウントバッテリー、USB-C PD給電に対応。さらに別売りのエクスパンションハブを使用することで、スタジオからロケ撮影まで柔軟に扱える設計となっている。近日発売予定。
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写真は『MOLUS X200 RGB』。軽量コンパクトなボディに210Wの高出力を実現したアイテム。 |
背面にはしっかりと冷却ができるように大型のファンを搭載。 |
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レンズの前にフィルターを写しこむことで独創的なイメージを演出できるLENSBABY OMNIクリエイティブフィルターシステム。 |
LENSBABY OMNIクリエイティブフィルターシステムは、レンズ前に反射プレートや特殊素材を物理的に固定して効果を写し込むシステム。特に推していたのがケンコー・トキナーオンラインショップと直営店舗限定で購入できる『OMNI NEON ボーナスパック』。フィルムのような抽象的な拡散ではなく、プレートや素材をしっかり固定できるため、光や色の写り込み演出を狙い通りにコントロールしやすいのが特長です。動画・スチール問わず、ネオン風のカラーアクセントをピンポイントで仕込める演出性の高いアイテム。
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ケンコー・トキナーオンラインショップと直営店舗のみで購入できる『OMNI NEONボーナスパック』。 |
薄いフィルターではなく、しっかりとした素材を採用しているのでムラのないエフェクトかけることができる。 |
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シンプルな背景でもOMNIクリエイティブシステムを使えば、映える1枚に簡単にしあげることができる。 |
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WHITE MIST No.05 は逆光撮影時のフレア表現と光の滲みが人気のミストフィルター。従来モデル「WHITE MIST No.1」の効果を約50%の強さに抑えたモデルで、ソフト効果を強くしすぎず、ピントの芯を残しながら上品なミスト描写をつくれます。ポートレートやオールドレンズ風の逆光表現を加えたい方に特にフィットする、ちょうど良いバランスの実用モデル。
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写真はドイツのシュナイダー・クロイツナッハ社とサムヤンがコラボした『AF 14-24mmF2.8 FE』(写真左)、『AF 24-60mmF2.8 FE』(写真右)。 |
サムヤンの最新AFレンズ2本は、軽量コンパクトな設計ながら高い描写性能と実用性を持つモデル。レンズ設計にはドイツ・Schneider Kreuznach社の光学技術が取り入れられ、製造は韓国の高い製造技術と融合したオートフォーカスレンズ。ポートレート撮影から動画撮影まで幅広い用途で持ち出しやすい常用レンズ候補。対応マウントはソニーE。
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雲台を交換することでビデオ用の三脚として使用できるアイテム。縦動画にも対応してい要るのが嬉しい。 |
SLIKの『スリック バーチカルビデオヘッド』は、既存の写真用三脚を簡単にビデオ用に変更できる縦動画対応のビデオ雲台。90°まで傾けられるティルト機構を備え、ビデオ用ながら縦動画撮影にも対応できる設計がポイント。ミラーレスカメラで縦SNS動画やVlogに挑戦したいユーザーにも手が届くコスパの良さと扱いやすさが魅力の入門モデル。価格は1万2700円。
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レオナルズ
https://www.leonardoes.com
インタービー会場でひときわ注目を集めていたのが、レオナルズの『GALAXY GUN』。見た瞬間「危なーい、熱そう!」と思ってしまうほどインパクトのある製品ですが、実は ステージ演出用のバッテリー式低温花火発射ガンで、まったく熱くなく安全 なのが最大の特徴。発射に使われているのは チタンパウダーで実際に火花を触ってみると見た目とは裏腹に触れてもほんのりと温かさを感じる程度でした。火器の使用が厳しく管理されている 幕張メッセのような会場でも安心して使うことができるので、ポートレート撮影やMV撮影、ライブフォト演出などで“強い印象づくり”が可能。
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銃のようなド派手な筐体が印象的な『GLAXY GUN』。 |
火花に見えていた原料はチタンパウダー。実は触っても熱くない。 |
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イメージビジョン
https://www.imagevision.co.jp
イメージビジョンのブースではSpyderProが展示されていました。Spyderといえばモニターキャリブレーションで広く知られるメーカー。先日、ソフトウェアの無料アップデートとなるSpyderPro(Ver.6.4)更新情報がリリースされており、ブースではそのアップデートによって何ができるようになったのかを詳しく説明してくれました。新たにの実装された機能としては、3D LUT(.cube)エクスポートを使用することで、対応するビデオモニターを高い精度でキャリブレーションできるようになったとのこと。外付けモニターやカメラ搭載の液晶モニターの色・表示を調整することで、撮影からデータ編集、最終ファイル生成まで一貫した色管理環境で作業できるワークフローが成立するというのは、現場ユーザーにとって大きな変化といえそうです。
Text:SATO TAKESHI




































