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  • 「フィルムの再現可能範囲が5EV(5段分)。その中間が18%グレー。」と露出の基礎を教えてくれるセコニックの吉澤さん

  • 【不定期連載】今さら聞けないカメラあれコレ
    第3回 露出って何ですか?

  • セコニックにはアナログの露出計もデジタルの露出計もあります

    • こんな失敗したことありませんか?

    • モデルさんの顔に露出を合わせるとこんな感じ

  • 写真の基礎知識を勉強する「今さら聞けないカメラあれコレ」の第3回は、
    露出について勉強していきます。

    今回の指南役は数多くの露出計をリリースするセコニックの吉澤隆史さんです。

    写真は構図、ピント、露出の三大要素があり、全て繋がっています。よく「適正露出はいくつ?」なんていうフレーズを耳にしますが、撮りたい画によって適正露出は変化します。見た目どおりに撮影したいのか? 見せたい部分を強調したいのか? など、その正解は撮る人の数だけあるとも言えます。
     
    ベテランのフォトグラファーになると、撮る前に既に被写体をどう表現するかという露出のイメージがシュミレーションされています。
    それはその人の培ってきた経験値から導きだされています。目に見えている基準の露出があって、そこから自分の作りたい画にあわせた露出を導き出して適正露出を決めています。その基準露出を把握するのに有効なのが単体露出計です。
     
    ポートレイト撮影でモデルさんをメインに撮影したいのに、写真のように暗い写真になってしまったことはありませんか?
    これは夕陽をバックにモデルさんを撮影しようとした時に起こりました。このような逆光時には背景の明るさとモデルさんの明るさに差がありすぎて、カメラ内蔵の露出計では意図した露出を得ることが難しいからです。この場合背景の明るさにカメラの露出計がひっぱられ、背景の空に露出があってしまったせいで被写体が暗くなってしまいました。RAW現像の際に、プラス3段オーバーで現像することで何とかモデルさんの表情が見える適正露出にすることが出来ました。このような時に合わせたい箇所の露出を的確に計れるのが単体の露出計です。
     
     
    露出の測定方法は反射光式と入射光式の2種類


    反射光式(カメラ搭載)
    被写体から反射した光を測定して、露出を決める方式。基本的に計測した部分を「18%反射率のグレー」に表現する数値がでます。したがって計る被写体の反射率や明るさ、色などにより違う数値が出ます。画面内で「18%反射率のグレー」に近い被写体を計測する事で標準的な露出が得られます。画面内に近い被写体がない場合は計った後に露出補正が必要となります。ちなみに「18%反射率のグレー」はフィルムが再現できる露出範囲5EV(5段分)の中間です。


    入射光式(単体露出計)
    被写体に入射する光自体を測定する方式。背景の明るさや被写体の反射率などに影響されないのが特長。反射光式と違って被写体が変わっても露出が変わらない数値になるので、白いものは白く、黒いものは黒く写る露出値が得られます。被写体のところで測定するので遠くの被写体を計れないこと、自らが発光するネオンやステンドグラス、透過光の花びらなどは測定できないということには注意するべきです。

  • 反射光式でも露出計のスポット測光を使用すればピンポイントで計りたい部分の露出測定ができます。その場合は計る色によって反射率が違うところが注意点。同じ光の下でも反射率が高い場合は露出計が明るいと判断して暗めの露出を表示する為、+の補正が必要で、低い場合は-の補正が必要です。コダックカラーセパレーションガイドの各パッチ部分をスポット測光し、標準反射板(18%反射率)を測定した値と比較して補正値を明記したものが、それぞれの写真の色のところに書いてある数字です。

    色による反射率を考えて基準露出を導き出すのは知識と経験が必要。反射光式で基準露出を出すなら「18%反射率のグレー」を測定するのが簡単です。本当は標準反射板(グレーカード)を持っているのが理想ですが、なかなか持っている機会は少ないですね。
    そんな時は「18%反射率のグレー」に近いものを測って標準露出を計ります。写真を見ていただくと分かる通り、緑色は露出補正が±0なので反射率は「18%反射率のグレー」とほぼ同じです。緑の葉などを測定すると見た目と近い露出が得られます。黄色を計った場合は+1・2/3の露出補正をすれば18%のグレーを計った場合と同じ露出になります。
    アスファルトや赤い紅葉なども「18%反射率のグレー」に近い反射率です。

    セコニックの単体露出計は全てのモデルで入射光式だけでなく反射光式の測定ができます。スポット測光は3機種で可能(一部モデルはオプションアイテムをつけることで対応)。入射光式の弱点をしっかりとカバーしているのが特長。2つの方式を使い分ける事でよりシビアに光を管理することができます。ちなみに入射光式の測定方法は被写体の位置で光球をカメラに向けて計測するのが基本となります。

    • 入射光式は白球のところで明るさを計測します

    • セコニックの単体露出計はほぼ全モデルで反射式を採用

  • チャートを撮影して自分の使用しているカメラが表現できるラチチュードも把握したい

  • 単体露出計を使うメリット

    ①基準となる露出を把握する(見た目と同じ状態になる露出)
    ②光のバランスを知る(ライティング)
    ③数値化して記録する(再現性)

    デジタルカメラはフィルムカメラに比べるとラチチュードが広がっているので、
    チャートを撮影して自分のカメラが表現できる値を把握したいところ。
    写真の中心のチャートが「18%反射率のグレー」で±2EVの濃度を確認できます。