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【不定期連載】今さら聞けないカメラあれコレ
第5回 RAWデータって何ですか? -
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写真の基礎を勉強する「今さら聞けないカメラあれコレ」の第5回はデジタル写真を語る上で重要なRAWデータについてお勉強していきます。
今回は市川ソフトラボラトリーの西巻敏さんにお話を伺いました。市川ソフトラボラトリーはRAW現像ソフト「SILKYPIX」の開発・販売を行っている会社です。そんなRAWのスペシャリストの方にRAWデータをわかりやすく教えてもらいました。
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デジタルカメラで撮影された画像の保存形式はRAWとJPEGがあります。〈図1〉を見てもらうとわかりやすいのですがRAW撮影とJPEG撮影ではカメラ内の処理が変わります。JPEGの場合はイメージセンサーで捕らえた光の情報(RAWデータ)をカメラ内の画像処理回路で、撮影時の設定(色合い、コントラスト、シャープ量、ノイズ軽減など)にあわせて現像した後、画像データとして保存されます。
RAWの場合はイメージセンサーで捕らえた光の情報をそのまま保存します。現像(加工)されていないという意味から「RAW(生)」と呼ばれています。データ量は大きく、カメラが出力できる最高画質のデータとなります。
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RAW撮影をするメリットは3つあります。
まず1つ目に、RAWはJPEGよりも多くの情報を持っていることです。JPEGとRAWのデータ量を比較するとJPEGは8ビット(256階調)でファイルサイズが小さく、RAWは14ビット(1万6384階調)でファイルサイズが大きい。RAWデータはJPEGより64倍もデータ量が多くなります。〈図2〉
データ量が多いと何が良いかというと、後から写真を明るくしたり色を変えたりする補正時に、画像の劣化が少なくて済むというところです。データ量の小さいJPEGは情報量が少ないので補正できる幅も少なくなります。RAWデータは情報量が多いので補正できる幅も大きいのです。もちろんRAWデータでも大きく補正しすぎると画像は劣化してしまいますが。
2つ目に、最新のRAW現像ソフトで過去のRAWデータを調整可能なことです。カメラ内の画像処理回路を使って現像するJPEGと違って、RAWデータはパソコンで現像するので、常に最新で高度な画像処理技術が使えるのが特徴です。例えば昔撮ったRAWデータを持っていたとして、その時は綺麗に取れなかったノイズが、最新のRAW現像ソフトを使えば綺麗に取れたりします。階調性も同様で、トーンジャンプしていた写真も今の技術を使うと滑らかに仕上げることができます。
3つ目は、JPEG撮影ではカメラの中で行っていた現像作業を後からRAW現像ソフトを使ってパソコンモニターで調整結果を見ながら自分のイメージに追い込むことができることです。もちろん記録される絵に影響がある構図、露出(シャッター速度)、ピント、ブレなどは撮影時に決めないといけませんが、JPEG撮影と違って、ホワイトバランス、コントラスト、鮮やかさ、シャープ・ノイズを撮影後にじっくりと仕上げることができるのがポイントです。このようにRAWデータで撮影するメリットはとても大きいのです。
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お話/市川ソフトラボラトリー 西巻敏さん -
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RAWデータはJPEGの64倍も階調がある。
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すぐれたオートホワイトバランスは文部科学大臣の科学技術賞を受賞。
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SILKYPIX以外にお絵かきソフトなどさまざまなソフトを作っています。
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SILKYPIXは15年前から発売されている歴史のあるRAW現像ソフト。
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RAW現像で調整できるもの
露出(明るさ)
ホワイトバランス(色合い)
調子(コントラスト、明瞭度)
カラー(鮮やかさ)
シャープ(輪郭の鮮明さ)
ノイズリダクション(ノイズ量)
西巻さんのお話はとてもわかり易くぼんやりとしかわかっていなかったRAWデータのメリットが明確になりましたね! 次回はSILKYPIXを使ったRAW現像方法をご紹介します。
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取材協力:市川ソフトラボラトリー
【Text SATO TAKESHI】