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【雑誌連動企画】X(cross)shooting… / Voigtländer APO-ULTRON 90mm F2
Voigtländer×瀬尾浩司【第3回】メーカーに聞くAPO-ULTRON
PASHA STYLE Vol.11連動 X(cross)shooting
大口径、コンパクトな中望遠レンズ
「Voigtländer APO-ULTRON 90mm F2」について
メーカー広報に直撃!
2025年1月に株式会社コシナから発売されたレンジファインダー用VMマウントレンズ
「Voigtländer APO-ULTRON 90mm F2」と写真家の瀬尾浩司さんのコラボレーションシューティング!
2回にわたってフォトグラファーの瀬尾さんに使用感や実際に撮れた写真、撮影の裏側などのお話を伺ってきましたが、最終回となる今回は視点を変えてレンズメーカーである株式会社コシナ広報部の佐藤和広さんからレンズの魅力や開発にまつわる貴重なお話などを伺いました。
💬
今回の企画で使用させていただいた「Voigtländer APO-ULTRON 90mm F2」の概要や成り立ちについて簡単にご説明していただけますか
製品名からもわかるように、色収差を極限まで抑えるアポクロマート設計を採用していて非常に解像度が高くクリアな描写が得られ、なおかつF2という明るさを実現しながらコンパクトなサイズに収めています。普通90mmでF2という性能を実現しようとするともっとサイズが大きくなってしまうものなんですが、それをほとんど手に収まるようなサイズに仕上げているというところがこのレンズの特徴ですね。
Voigtländerの同マウント、同焦点距離には先行製品として「APO-SKOPAR 90mm F2.8」というレンズがあるのですが、そのレンズのコンパクトなサイズ感で更に明るいレンズができたらいいよねっていうところから開発企画がスタートしています。そもそもVMマウントなのでレンジファインダーカメラでの使用が想定されていますので、ファインダー内でのレンズの映り込みはなるべく少ない方がいいわけです。ですから細くて短いコンパクトなレンズの設計を目指すというのが第一前提としてありましたのでそれをクリアするのは苦労しましたね。
Voigtländerの同マウント、同焦点距離には先行製品として「APO-SKOPAR 90mm F2.8」というレンズがあるのですが、そのレンズのコンパクトなサイズ感で更に明るいレンズができたらいいよねっていうところから開発企画がスタートしています。そもそもVMマウントなのでレンジファインダーカメラでの使用が想定されていますので、ファインダー内でのレンズの映り込みはなるべく少ない方がいいわけです。ですから細くて短いコンパクトなレンズの設計を目指すというのが第一前提としてありましたのでそれをクリアするのは苦労しましたね。
90mmという長玉にしてこのサイズ感はすごい。バッグに1本入れていても気にならない。 |
💬 そのようなレンズへのニーズが市場にあったということでしょうか
市場のニーズというものはもちろん製品を企画する上で重要な要素ではあるのですが、それよりも「自分たちが欲しいと思えるレンズ」を作っているところはありますね。大手メーカーだとより多くのユーザーにリーチする商品の開発が求められると思うのですが、うちのような企業はほんの一部の人の"欲しい"という希望が叶えられればいいかなと。そういう考えで製品の企画をしています。
💬 このレンズが得意な被写体というかジャンルを想定されていますか
焦点距離90mmということでやっぱりポートレートに向いてるんじゃないかというのはあります。あとは切り取る感じのスナップなんかも楽しんでもらえるんじゃないでしょうか。ポートレート向けとしてこだわっているところとしてはボケの質をいかに良質にするかというところですね。絞りの形が極力円形に近づくように羽根を12枚使っていて、「ブーメラン型」の羽根を採用することで精度が高い絞りを実現しています。一眼レフ用の絞り羽根はその機構上速く開閉させななければならないので絞り開口部の形状の精度よりも動作性が優先されます。なので同じように12枚の絞り羽根を使用したとしてもどこかしらに形の崩れが出たりするんですけど、ブーメラン型の羽根を使用しているAPO-ULTRONの場合は正12角形の精度が高くボケが美しくなっているんです。パッと見は柔らかい絵を出してくるんですけど、よく見るとしっかり解像している。そういう特徴を持ったレンズです。総合的にいうとこれはもう主観も入ってるんですけどピーカンなところで撮るよりは、ちょっと曇った時とか、夜とかコントラストの低いシチュエーションでこのレンズが活きるかなって感じがします。今回の瀬尾さんの作品は屋内で撮られた作品でしたが、ああいうちょっと 光が弱い、ローコントラストのところですごく立体感が出ると思うので、ああいうシーンを非常に得意とするレンズかなと思います。
💬 コシナのサイトの方にも作例がいくつか公開されていますよね
ポートレートではありませんがWEB[コシナ作例]の方に作例が公開されているので合わせて見ていただければと思います。基本的にはほぼ開放で撮影された写真が公開されています。その中からひとつ紹介させていただければと思うのですが、この写真は朝の日が上がる直前に撮られているカットなんですけど、公園の遊具が夜露に濡れているところに光が入っているシーンが撮られているんですけど、結構ピントは浅いんですよ。浅いんだけどちゃんと解像はしているしハイライトのところの色にじみもない。拡大してみるとピントが合ってるところから素直にボケているのがわかると思います。この作例からもAPO-ULTRONの素性の良さを感じてもらえると思います。
コシナの作例より。他にもいくつかの作例が公開されています。作例ページはこちら |
💬 ポートレートを撮っているユーザーにメーカーからこのレンズをお勧めするとしたらどういうことになりますか
やっぱり立体感ですよね。ポートレートを撮る上では主題はモデルさんなので、背景との浮き上がりがないとどうしても単調な写真になってしまうので、その立体感を得るにはこのレンズが最高かな。その辺を楽しんでいただけると思います。ピントの立ち上がりも結構シャープなのでライブビューなどでもピントがどこにあるかもわかりやすいです。フォーカスを送っていくと徐々にピントが移動して背景の中から主題が浮き上がってくるような感じが実感していただけるんじゃないかと思いますね。
X shooting協力メーカー

コラボレーションレンズ情報

Voigtländer APO-ULTRON 90mm F2(VM MOUNT)
RGBの軸上色収差を抑えるアポクロマート設計と12枚の絞り羽根が生み出す美しいボケ味。精密なマニュアルフォーカス機構とコンパクトなボディが、高性能かつ滑らかな操作感を実現するレンジファインダー用レンズ。
●焦点距離:90mm ●口径比:1:2 ●最小絞り:F16 ●レンズ構成:7群8枚 ●画角:27.4° ●絞り羽根枚数:12枚 ●最短撮影距離:0.9m ●距離計連動範囲:∞〜0.9m(使用するカメラにより異なる)●最大径/全長:φ61.9x63.3mm ●フィルターサイズ:φ52mm ●重量:340g ●レンズフード:専用フード付属 (リバース装着可能) ●カラー:シルバー/ブラック
価格:13万2000円(税込)

雑誌連動インタビュー最終回いかがでしたか?
「APO-ULTRON 90mm F2」の素晴らしい描写をポートレートフォトグラファーにも体感していただきたいです。
▶ 瀬尾浩司インタビュー1回目はこちら
▶ 瀬尾浩司インタビュー2回目はこちら
今回「Voigtländer APO-ULTRON 90mm F2」で撮影された作品は、
雑誌PASHA STYLE Vol.11に掲載されています。
ぜひそちらと併せてお楽しみください。
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【text:kimihiro kawano】