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  • 作り込み創作No.25232

    葬送

    Ryoichi

  • アーティスト
    関係者

    せとらえと(主役、モデル)
    はなみさ(最後の一服で送る人、アイデア、演出)
    九賀逸句/hoe(葬送曲を弾く人)
    WATA(アイデア、演出)
    菅原海春(短歌)
    えとママ(空き缶の花の制作)
    ユメノギャラリー(撮影ロケーション)
    fan(花屋)
    花いち(花屋)
    まさむー(撮影、アイデア、全体の企画進行構成演出)

    共同作者 -
    撮影場所 ユメノギャラリー/88
    使用機材

    sony a7m3
    Leica sumicron 50mm f2

    作品説明

    モデルの せとらえと が主催した自主企画展「生前葬」のために制作、展示した作品です。
    テーマとしては大きく2つあります。

    一つは「葬」という文字を分解しその成り立ちを調べ映像化することを試みました。
    葬という文字は「艸」「死」「廾」からなり、草花に遺体を隠す意味となります。。
    また、字音を同じくする関連する文字に「臧」があり、納める、隠すという意味のほかに古代中国の官位として用いられたことから美しいもの尊いものを褒め称える意味を持つことがありました。「臧」は「蔵」に通じ、大事なものを納める意味となります。
    画としては森の中にガラスの棺を用意し、草花や好きなものを一緒に納め、あるいは散りばめました。
    主役を死者と描くことをやめ、涅槃図のようにこれから旅立つ者と見送る者との対比としました。一人は葬送曲を弾き、一人は別れの前に最後の一服の火を分かち合います。
    棺は死を象徴する空間として主役の他に入るものはなく、四方に本名の由来であるエリカの花を配置し「エリカの死」を示唆しました。

    もう一つのテーマは実際に葬儀の場に立ち会った際に、自分と彼女との関係性を説明できるものにする、というものでした。
    SNSで知り合ったカメラマンとモデルは多いと思います。本名も知らない中で撮影し、あるいは遊びや飲みの場を共にすることもあります。
    この作品があり、一連の説明をすれば以後この作品を見ればどのようなことがあったか思い出せるようにしました。
    そのために自分とモデルの二人での制作ではなく、関わった友人に声をかけ、出演、短歌、演出など何かしらの形で参加をしてもらいました。
    この作品の中には少なくとも15の演出や意味合いを込めています。

    画面上はファンタジーのようでありながら、お酒の空き缶で作った花やタバコや雨合羽を着て寝そべる姿など脈絡のないものが多々あります。
    これらは彼女にインタビューをしそこから着想した小物であったり、過去に撮影や遊んだ際の一場面のセルフオマージュになっています。
    複数枚による展示も検討しましたが、パラオの民芸品のストーリーボード(物語や伝承を一枚の板の中に木彫りする)のように一枚の写真の中に納めることにしました。
    半透明の人物のそれぞれがその時々の撮影を象徴するものであり、実体の衣装やシガーキスの構図も以前に撮影をしたり遊んだ際の写真をモチーフにしました。

    このように、一枚の写真だけを見て説明をするには画面の意味は不明となります。
    第一に本人と家族、それに友人に意味が伝わるように制作しました。
    そのような作品ではありますが、誰かが誰かを送るという誰もがどちらをも経験について何かを考え、感じ、あわよくばその制作過程や意図に共感を得られることができれば、そこにはパシャスタイルに発表する意味も生まれるのではないかと思います。

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